仙台市が東日本大震災で被災した沿岸部に整備したかさ上げ道路「東部復興道路」の全線開通を祝う式典が30日午前、若林区荒浜の震災遺構荒浜小であった。一般車両の利用開始は午後3時。市が復興の象徴と位置付けた道路の全線開通で、市内の復興事業はハード面で一区切りを迎えた。
記念式典は午前11時に始まり、地元の中学生や町内会長、工事関係者ら約120人が出席した。郡和子市長は「幾多の試練を乗り越えて開通を迎えた。津波から人々の命を守るまさに命の道、命の防波堤であり、震災と復興を後世に伝えるシンボルだ」と語った。
式典後は復興道路の荒浜交差点付近に移動し、郡市長や中学生、県選出国会議員らがテープカットし、連合町内会長らがくす玉を割って開通を祝った。利用開始に先立ち、出席者を乗せた車両18台が通り初めをした。
東部復興道路のルートは地図の通り。宮城野区蒲生から若林区藤塚までの総延長10.2キロで、県道区間6.8キロと市道区間3.4キロで構成する。約6メートル盛り土をして堤防機能を持たせ、海岸防潮堤や仙台東部道路などとの多重防御で津波の威力を軽減する。
復興道路と仙台東部道路の間は、県道井土長町線、荒浜原町線、市道南蒲生浄化センター1号線を「避難道路」として拡幅。復興道路の東側に避難の丘、西側に避難タワーやビルを整備した。
避難道路も合わせた事業費は317億円。2014年3月に着工し、当初は19年3月の完成予定だった。一部区間で地盤改良の必要が生じ、全線開通は10月19日に先延ばしとなり、台風19号によるのり面の損傷で再延期された。