新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行した8日、仙台市内の小売店で感染対策を緩和する動きが相次いだ。3年近く売り場に常設していた接客用のアクリル板や検温器を撤去するなど、「顔の見える接客」の再開に向けて新たな一歩を踏み出した。
青葉区の藤崎は7日夜から8日朝にかけ、接客カウンターに設置していた飛沫(ひまつ)防止のビニールや、マスク着用などを呼びかけるポスターを売り場から片付けた。客同士の接触を避けるため玄関口に置いてあった入り口と出口を分ける看板や、検温器も撤去した。
感染拡大後に中止した飲料水の無料提供も再開する方向で検討している。従業員の接客時のマスク着用は31日まで継続する予定。来店者の着用状況などを踏まえ、今後の方針を決める。
泉田朝一郎総務担当課長(54)は「基本的な感染対策を維持しつつ、これまでよりもお客さんに普通に対応できることをうれしく思う。マスクはいずれ外す方向とし、再び顔が見える状態で接客したい」との見通しを示した。
青葉区の仙台三越は8日から、従業員のマスク着用を個人の判断に委ねた。接客用のアクリル板や検温器は全て外した。
広報担当の赤川奈菜さん(25)は「感染を不安に感じるお客にも対応できるよう、売り場の従業員はマスクをすぐに着用できる準備をしている。今後の感染状況に合わせて対策を変更する可能性もあり、柔軟に対応したい」と強調した。
生協は検温器設置継続
宮城県内に49店を構えるみやぎ生協は、レジやイートインコーナーにあるパーティションや出入り口の検温器の設置を当面継続する方針。従業員の接客時のマスクやレジ担当時のゴム手袋の着用は個人の判断とするなど、感染拡大期に比べ対策を緩和した面もある。
店舗運営部の木村勝彦運営グループ統括(59)は「5類に移行してもコロナが完全になくなったわけではない。世の中や他企業の様子を見極めながら今後の対応を考えたい」と話した。