「食品の値上げ」に悪戦苦闘 消費者は複数スーパー使い分け 小売店は特売日増やして低価格PR 仙台

4月に入りまたも食品の値上げが相次ぎ、物価高騰に歯止めがかからない。原材料価格の高止まりや、一部の農作物の天候不順による高騰などを背景に、多くの生鮮・加工食品の価格は上昇傾向が続く。仙台市内では消費者が複数のスーパーの「使い分け」を進めるなど生活防衛意識を高める。小売店側も特売日を増やしたり仕入れを工夫したり、来店客をつなぎとめようと懸命だ。(経済部・横山浩之、水内杜子)

「安い店を探して買う」

 「乳製品や食用油は安い店を探して買うようにしている。各スーパーの値段をしっかりと比較して買うようになった」

 5日に若林区のスーパー「生鮮館むらぬし」を訪れた同区の60代主婦は、買い物習慣の変化を実感する。「今日はサニーレタスが他店の半値で買えた」と喜んだ。

 別のスーパーに来店した同区のパート従業員高橋詠子さん(59)は「高い商品に文句を言うより『安い商品を見つけたら買う』と割り切っている。野菜はスーパーより安い産直施設で買うことが増えた」と物価上昇に慣れつつある心境を語った。

 総務省によると、仙台市の2023年平均の消費者物価指数(20年=100)は106・9で、前年から3・7%上昇した。うち生鮮食品を除く食料は9・2%の高い伸びとなった。24年1、2月も生鮮食品を除く食料は、前年同月比で6%台の上昇を記録。一方で実質賃金は上がらず、家計は苦しさを増す。

仕入れ先を変更、価格抑える

 小売店も仕入れ価格の上昇への対応に知恵を絞る。「むらぬし」は消費者の低価格志向を取り込もうと、売れ筋の400円以下の弁当から、高値が続くのりを抜いた。海外産の果物の一部は仕入れ先を北米から東南アジアに変更し、価格を抑えている。

 村主芳治社長(48)は「配送などの経費も高くなってきているが、消費者も店側もウィンウィン(相互利益)になる道を探りたい」と強調する。

 若林区のスーパー「サン・マルシェ荒井店」などを展開する本間物産(山形県遊佐町)は24年1月ごろから各店で特売日を月1回から3回に増やした。7の付く日に「77円」「87円」といった低価格の商品を売り出す。

 同社の担当者は「誰も経験したことのないような物価高に、メーカーも小売業も手探りで対応している。競合他社の動向も注視しながら、来店客を支えていきたい」と話す。

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