「首都圏で巨大地震」不安6割 ストレス慢性化の懸念も 筑波大調査

 首都圏が巨大地震に襲われると不安に感じている人は、1都2県の住民の6割を超え、半数以上の人が地震やそれに伴う景気の後退を不安視していることが筑波大の松井豊教授(社会心理学)らの調査で6日、分かった。
 東日本大震災から半年が経過しても余震や原発事故による放射能問題が収束せず、ストレスが長期化していることを示した形で、社会不安が慢性化することも懸念される。11日から静岡市で開かれる地域安全学会で発表する。
 調査は東京都、神奈川、埼玉両県の住民を対象に9月中旬、インターネットで実施。社会や個人生活、地震、放射能などに関する約20項目の中から、不安に感じることをすべて選ぶ方式で、20~59歳の男女783人の回答を分析した。
 全体で最も多かったのは「南関東に巨大地震が起こる」で、3分の2に当たる66・4%が不安に感じていると回答した。首都直下地震への懸念とみられる。次いで「東海沖や東南海で巨大地震が起こる」(54・8%)、「不況が深刻になる」(52・9%)の順だった。
 東京電力福島第1原発事故の関連では、「放射性物質で汚染された食品が出回る」(50・3%)が最も多く、「放射性物質に関することで政府が情報を隠している」(40・0%)、「子供の生活場所が放射能で汚染される」(34・0%)などが続いた。
 大震災関連では「被災地で自殺する人や心を病む人が増える」が28・6%。津波への不安は比較的少なく、「再び大きい津波が起こる」は24・1%だった。
 別の研究チームによる平成17年の調査で上位を占めた治安悪化や少子・高齢化などへの不安は今回、大幅に減少しており、地震や放射能への不安が社会問題への不安を上回る傾向がみられた。
 松井教授は「余震や放射能の影響が継続し、収束感が弱いためか、ストレスが予想より多く残っている。半年もたつと慢性期に入るので、ストレスは長期化するかもしれない」と話している。

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