自民党総裁選1回めの投票で181票(議員票72票、総党員算定票109票)と、2位の石破茂氏の154票(議員票46票、総党員算定票108票)を大きくリードした高市早苗経済安保大臣。
しかし、上位2名による決選投票では石破氏215票(議員票189票、都道府県票26票)、高市氏194票(議員票173票、都道府県票21票)と逆転を許し、女性初の “総理大臣” を惜しくも逃してしまった。
高市陣営の議員秘書が言う。
「陣営の読みが甘かった。岸田文雄首相と菅義偉前首相は仲が悪いので、石破さんを支援した菅さんと岸田さんが手を組むはずがないと考えていたフシがありました。しかし、実際は旧岸田派の票がごっそり石破さんに入ったわけです。派閥のなかでも旧岸田派が最も結束が固かったとは」
その高市氏は、自民党新総裁となった石破氏から、党総務会長の就任を打診されたものの固辞し、未入閣組の処遇を要望。閣僚を打診されても受ける予定はない、と返事をしたという。また、総裁選に出馬した小林鷹之前経済安保大臣も、党広報本部長起用の打診を辞退したという。
ちなみに、総務会長には麻生派の鈴木俊一財務相が就任する予定だ。
この高市氏の対応に、Xでは高市氏の判断を称賛する声もあった一方、批判の声もあがっている。
《自民党員であるなら、面白くなくても新内閣に協力するのが筋じゃないの?それが嫌なら離党すれば?離党する度胸もなく自民党ブランドにぶら下がる。これが会社だったら左遷か退職勧告モンなんですけどね》
《こう言ってたよね?早苗ちゃん。「党内で遠慮なく意見を交わし、決まれば一致団結して前に進める。」意見を交わさず、一致団結する気もない。あれは選挙用のコメントだったんだぁ》
《役職をことごとく固辞、駄々をこねる子供のよう 「お遊戯会で主役になれなかったので、もう出ない」 これなら離党してもらった方がいい》
高市氏は、総裁選出馬の際に、自身の推薦人のなかに役職停止処分を受けた議員を含む13名が「裏金問題」に関与していたが、それについて、総裁選期間中に「どなたが推薦人になってくださったかは知りません」と発言したことで批判を浴びた。
当時、自民党のベテラン秘書は、高市氏が “裏金議員” を味方につけなければならない理由として、過去の総裁選での出来ごとをもとに、こう話していた。
「推薦人が誰かを知らなかったなんて、普通では考えられないことです。立候補した先生方は推薦人にはそれだけ感謝するもんですから。だけど、高市さんなら知らなかったというのはあり得るかもね。
前回の2021年総裁選で高市氏の推薦人になったある先生が『お礼の電話1本すらなかったと憤慨していた』という話を聞いていましたからね」
今回も負けたから “知らぬ存ぜぬ” ということなのか。
石破氏は、10月9日に衆議院を解散し、27日に投開票をおこなう総選挙のスケジュールで調整している。党の顔が新しくなったとはいえ、政治とカネの問題を総括していない自民党にとって、逆風のなかでの衆院選に変わりはない。
リーダーに “そっぽを向いた” 高市氏は、自民党にどういう形で貢献していくつもりなのかーー。