「白チンキ」。隠語でそう呼ばれる媚薬、つまり女性の性的興奮を高める目的で使用される薬の売買が静かに広まっています。
一人の売人逮捕の例からこの媚薬の実態が伝わってきました。
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1月9日、タイ警察は「2粒でどんな女性もできあがり」との売り文句で媚薬をSNS上で販売していた19歳少年を北部ランプーン県の自宅で逮捕しました。
警察はLINEグループで媚薬を販売している者がいるとの情報を市民からの通報で掴み、購入希望者を装って連絡を取ったことで少年の身元を割り出していました。
少年の自宅からは、証拠品として「白チンキ」(タイ語で「ティンジャー・カーオ」)と呼ばれる無色透明の結晶の牝馬用発情誘起薬が詰められたビニール袋500グラムと小瓶に小分けされて詰められたもの32本、空の小瓶100本などを押収しています。
白チンキを販売していたLINEグループは「サプリメント」という名称で1,200人の会員がいました。
少年はバンコクの業者からネットで白チンキの500グラムの大袋を1袋150バーツ(約540円)で購入し、50瓶に小分けして1瓶850バーツ(約3,000円)で販売していました。さらに液体タイプも1本400バーツ(約1,400円)で販売。
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取り調べに対して少年は、元々ネットで物を売る商売をしていたところ、18~50歳男性の間で盛り場で見つけた女性を酔わせて性交に持ち込むために「白チンキ」の需要が高いことに気付き、販売を始めたと供述しています。
「売っても売っても足りないほどの人気で1年で莫大な金が入った」と自慢げに自供していますが、効き目についても女性が服用すると少量でも酔いとめまい、性欲が起きるので性行為ができるとのこと。購入客も皆効果の実感を得ていたのが売れ行きの良かった理由だと少年は捉えているようです。
「白チンキ」の意味のタイ語「#ทิงเจอร์ขาว」でツイッターのハッシュタグ検索をすると(検索しないでね)、販売業者が沢山出てきます。どれも小瓶1本2,000バーツ(約7,200円)なので少年よりもかなり高い値段設定ですが、それだけ蔓延していることが窺えます。タイだけでなく日本でも、女性の方は他人から渡された飲み物をむやみやたらに飲まない自己防衛が必要かもしれません。(取材・文◎赤熊賢)