新型コロナウイルスの感染拡大でマスクが品薄になる中、滋賀県高島市特産の綿織物「高島ちぢみ」を使った布製マスクがこのほど開発された。特有の肌触りの良さを生かした付け心地と、繰り返し使える耐久性が特徴といい、企画・製造関係者は「高島ちぢみの良さを知っていただき、感染防止のお役に立てれば」と話す。
高島晒(さらし)協業組合(同市新旭町旭)と衣料メーカー「オールユアーズ」(東京都)が共同開発した。両者は2017年春に高島ちぢみの生地を素材にしたTシャツを開発したほか、19年秋には高島ちぢみの品質基準規定やロゴマーク作成を手掛けた。
布製マスクは、生地に「しぼ」と呼ばれる凹凸があり、肌への接触面積が少なく、さらっとした高島ちぢみの特性を生かそうと、2月下旬に試作した。製造元によると、生地には植物由来の成分による抗菌、消臭作用があり、くしゃみやせきで飛散するインフルエンザウイルスを99%寄せ付けない特殊加工を施した。抗菌、消臭作用は50回洗っても持続するという。
5月上旬までに2400枚を生産する予定だが、3月上旬の発売(1枚2200円)開始と同時に完売し、現在は予約を受け付けていない。増産の見通しが立てば予約を再開する予定。同組合の杉岡定弘常務理事(48)は「高島ちぢみの着心地の良さは、口の周りの快適さにも通じる」と、一過性ではないニーズの広がりを期待する。