おやじの夢が形になった-。愛車のガレージにもなる木造のキットハウスを佐賀県唐津市の木材建材卸売業「フレックス唐津」(山口哲生社長)が開発、全国で発売している。その名も「おやじの隠れ家」。国産のヒノキや杉を中心とする無垢(むく)材を使用する一方、コストを抑え、基礎工事から1週間ほどで建築できる手軽さが評判に。品質の高さが評価され本年度のグッドデザイン賞(日本デザイン振興会主催)も受賞している。
「販売するつもりはなく、純粋な遊び心でつくりました。そこに魅力があったのでしょうね」。同社に展示しているガレージタイプの「隠れ家」には、59歳の山口社長が社会人になったばかりの時に買った愛車の小型スポーツカー「トヨタ・スポーツ800」が格納されていた。
個人でも組み立てられるキットハウスを開発するきっかけは2006年、店がテレビの24時間チャリティー番組の募金会場になり、社員が「24時間で建ち上がる家づくりに挑戦してみましょう」と提案したことだった。山口社長が自ら設計を担当し、その際、思い浮かんだのが愛車を保管でき、屋根裏部屋を備えたくつろげるガレージだった。
組み立てた家を展示していると、通りがかりの人から問い合わせが舞い込むようになった。本格的な販売に乗り出したのは09年。福岡市で開かれたモーターショーに出品したところ、雑誌や業界紙に取り上げられ、全国から注文が入るようになった。
キットハウスは、ガレージのほか、住宅仕様でセカンドハウスになるタイプのものもあり、アトリエや災害時の緊急住宅などの用途も想定。コンクリートの基礎工事を済ませておくと、ガレージなら1日、住家でも1週間で施工できるという。ガレージスペースがある標準仕様(間口6メートル、奥行き5メートル)で、キット価格(工事費など別)は税別238万円。完成参考価格は同380万円。山口社長は「ぬくもりが感じられる家で楽しい時間を過ごしてみませんか」と話している。同社=0955(74)5500。