新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、コールセンターで働く従業員が「3密」同然の職場環境に不安を募らせている。閉鎖された空間、不特定多数が触れる機械端末、至近距離で相対する指導-。仕事は感染の恐怖と隣り合わせで、仙台市内のコールセンターで働く50代女性は「電話で話し続ける仕事柄、いつ誰が感染してもおかしくない状況だ」と訴える。
女性は契約社員として、服飾関連の企業の注文などに応じる部門に所属する。職場は窓を開けられない高層ビルの一室にあり、他部門を含む約200席が並ぶ。感染防止対策で簡易な仕切りが設けられたが、両隣の席との距離は1メートルに満たない。
顧客の個人情報保護のため、パソコンの端末を複数人で使わざるを得ない。共有する機材が多く、マイクも消毒して使い回すという。女性は「なぜ休業要請の対象とならなかったのか」といぶかる。
衣替えの時季に当たる今は繁忙期で、外出自粛の影響もあり注文は急増している。新入社員が次々と採用され、平時と同様、1台のパソコンにマンツーマンで向かう指導が続くという。
各地で感染者が続出しても、会社が座席の配置や勤務人数の削減を検討する気配はない。「目先の利益を優先せず、社員の不安を解消する企業の責任を果たしてほしい」と女性は言う。
コールセンターでの感染防止対策について、宮城県内に拠点を置く企業の産業医男性(34)は「マイクなどの機材をやむを得ず共有する場合、カバーなど機材を部分的に個人専用にしたり、使用後の消毒を徹底したりすることが重要だ」と指摘する。
個人加盟制の労働組合「仙台けやきユニオン」(仙台市)には「職場の3密が改善されない」といった労働者の相談が数多く寄せられている。
同労組によると、コールセンターをはじめ非正規社員が多い職場では、契約更新を控える従業員が会社側に環境改善を求めづらい実態があるという。
(この記事は「読者とともに 特別報道室」に寄せられた情報を基に取材しました)