「3密」避けて フィールドアスレチックや遊歩道で親子のびのび

新型コロナウイルスの感染拡大で宮城県内の一部公共施設の休館や学校の臨時休校が続く中、利府町の県民の森では子連れの来園者が増えている。指定管理者のNPO法人県森林インストラクター協会(利府町)は、感染が発生しやすい「密閉」「密集」「密接」を避けられ、子どもたちが思う存分体を動かせる場所として重宝されているとみている。

 今月上旬、平日の正午ごろには県民の森中央記念館横の駐車場に50台近い車が並び、園内では小学生がアスレチック遊具で遊んでいた。塩釜市の小学5年男児(10)は「毎日家にいたので、久しぶりに運動できて楽しい」と笑顔を見せた。
 県民の森の3月の来園者数は前年同月比19%増の3万1153人。今月も10日までで前年比28%増の1万998人が訪れており、特に平日が増えたという。普段はハイキング目的の高齢者の利用が中心だが、学校の休校が続く3月からは子連れの姿が目立つ。
 481ヘクタールの敷地には総延長30キロの遊歩道や広場、フィールドアスレチックスがある。感染防止対策も進められ、今月10日からは竹馬など遊具の貸し出しやアスレチックの利用が中止になった。それでも訪れた子どもたちは虫取りを楽しむなどしていた。
 長男が小学6年という利府町の40代男性は「子どもが運動不足で夜中まで起きている。ここで体を動かして生活リズムを直してほしい」と期待する。5歳女児と訪れた名取市の40代主婦は「普段はショッピングモールの専用スペースで遊ばせることが多いが、人と密接するのが怖くて屋外に来た」と話す。
 県民の森管理事務所長の蜂谷仁さん(71)は「屋外なので感染のリスクは低いが、来園者が増えれば感染面での懸念が出てくる。一方で運動不足による子どもの健康面も心配。しかし、単純に『体を動かしに来て』と言えずもどかしい」と複雑な表情だった。

タイトルとURLをコピーしました