KDDI(au)は今月末、主に「ガラケー」と呼ばれる旧来型携帯電話で使われている通信規格「3G」回線のサービスを終了する。4月になると、3G端末を使う契約者は自動的に解約され、電話やデータ通信ができなくなる。期限が迫るなか、KDDIは、携帯電話を継続利用したい人は早期に機種変更するよう呼びかけている。
3Gは、現在の主流規格「4G」の前の世代にあたり、NTTドコモなど携帯大手3社が2001年以降にサービスを開始した。携帯電話によるインターネット接続サービスの普及に大きな役割を果たした。
現在、各社は4Gの次世代となる高速・大容量の規格「5G」のエリア拡大に力を入れており、3Gの維持を続けるのはコストや管理の負担が重くなっていた。ソフトバンクは24年1月下旬に終了を予定している。21年12月末時点で3G契約を約1200万件抱え、他社に比べ割合が高いとみられるドコモは、26年3月末にサービスを終える。
KDDIは18年に終了の方針を発表。3G利用者に対し、4Gや5Gに対応するスマートフォンなどに変更するようメールや電話で呼びかけてきた。今月末まで一部機種の変更に無料で応じている。
3G利用者は60歳代以上の高齢者が多いため、専門スタッフが契約者宅を訪問し、その場で相談しながら変更手続きができるサービスも進めてきた。「移行は順調に進んでいる」(広報担当者)という。
なお、4Gに対応していても、音声通話に3G回線を使うなどで、高音質の通話サービス「VoLTE(ボルテ)」に対応していない機種も、4月以降利用できなくなる点に注意が必要だ。例えばアップルの「iPhone(アイフォーン)5」などが含まれる。
調査会社「MMD研究所」が今年2月に60〜79歳の男女を対象に行った調査では、旧来型の携帯端末を利用する人のうち、約16%が3Gサービスの終了自体を「知らない」と回答した。移行を検討する利用者からも、使い慣れたガラケーに代わるスマホでの操作を不安視したり、利用料金が上がるのを心配したりする声が目立った。
生活基盤となっている携帯電話が突然使えなくなることは避ける必要がある。各社は、利用者に対し3G終了についての情報発信の強化や、キャンペーンなどを通じて機種変更を促していく考えだ。
2年後にサービス終了を控えるソフトバンクは、3Gから移行する契約者に対し、新たな端末の販売価格を割り引くキャンペーンを行っている。ドコモは、「3G終了を周知するとともに、スマホ教室などを通じて利用者の不安の解消に努める」としている。