結核予防のＢＣＧワクチンが新型コロナウイルス感染症を予防するとの見方が世界で広がり、日本ワクチン学会と日本小児科学会は、こうした目的外の接種について、「真偽が科学的に確認されたものではなく、推奨しない」などと慎重な対応を求める見解を公表した。見解によれば、国内の医療機関にも接種を希望する問い合わせが届いている。
ワクチン学会の岡田賢司理事長（福岡看護大学教授）は「免疫力が落ちた高齢者に接種すると、思わぬ副作用が出る恐れもある」と警告している。
ＢＣＧの公的接種を行う日本のような国に比べ、米国やイタリアなど一律のＢＣＧ接種を実施しない国の方が新型ウイルスの感染率も死亡率も高く、ＢＣＧと関連づける見方が出ている。
米科学誌サイエンス（電子版）は、「ＢＣＧが結核菌以外の病原体に対する免疫力を高める可能性がある」とのデンマーク人研究者の仮説を紹介し、オランダやオーストラリアなどの医療機関が臨床試験を計画していると報じた。この仮説はまだ証明されていない。
日本のＢＣＧワクチンは、乳幼児が接種の主な対象になっている。目的外に使われると、こうした接種に影響が出る。製造元の日本ビーシージー製造は、不足を招かぬよう今月６日から出荷調整を始めた。
