プロ野球、東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地、県営宮城球場(仙台市宮城野区)の愛称の命名権(ネーミングライツ)を持つ製紙大手の日本製紙(東京)が、年内で満了する契約を更新しない意向を宮城県に伝えたことが31日、分かった。県は近く、新たな命名権者の公募を始める。「日本製紙クリネックススタジアム宮城」(Kスタ宮城)の愛称は今年限りとなる見通しとなった。
日本製紙は2007年の公募に応じ、08年1月から年2億5000万円の3年契約で命名権を取得。11年に年2億円で3年契約を更新した。契約企業には優先交渉権が与えられるが、期限の8月末まで行使しなかった。
同社は日本製紙グループの中核企業で、経営効率化の一環とみられる。東日本大震災では主力の石巻工場(石巻市)が津波で被災した。命名権について同社は「現段階ではコメントできない」と話している。
県は11月上旬にも公募手続きに着手する。応募があれば、県教委の内部委員会が購入金額の提示内容や経営状況を勘案し、選定する。
新たな命名権をめぐっては、球団の親会社でネット通販大手の楽天など、関心を持つ企業は少なくないとみられる。楽天野球団の立花陽三社長は「日本製紙が命名権の延長をしないという話は聞いている。(新たな契約先は)これからの話。公募の決定権は県にあると理解している」と話した。
同球場の命名権は05年に初めて公募され、人材派遣業フルキャストが年2億円で獲得した。売却収入のうち75%が楽天野球団、25%が県に入る。
Kスタ宮城は今季、東北楽天の主催試合(72試合)で過去最多となる約128万人を動員した。