宮城県栗原市築館中(生徒369人)が、LGBTQ(性的少数者)教育に2020年度から積極的に取り組んでいる。多様な価値を認める社会性を身に付けてもらうのが狙い。家庭でも理解を深めてもらおうと、10日には高橋千春校長が保護者に取り組みなどを説明した。
築館中は20年度、男女別の名簿と整列をやめた。朝会や集会では性の多様性の講話を実施。教職員は「さん」など男女区別のない呼び方で生徒と接する。体と心の性に違和感のある生徒が教師らに相談しやすい環境づくりも進めている。
高橋校長は「最近は『詳しく知りたい』『自分の考えを聞いて』と校長室を訪れる生徒が増えてきた」と校内の変化を語る。
「その人の個性」
高橋校長は18、19年度に県共同参画社会推進課に出向し、性の多様性に対する理解が民間企業や団体に比べて教育現場で遅れている実情を痛感したという。築館中校長に着任してすぐ、LGBTQ教育を始めた。
初めて実施した保護者説明会で高橋校長は、性的少数者が20~60代の約1割を占めることや約6割がいじめを経験していたことなどをデータを交えて解説。「性の多様性の尊重が世界の常識になっている。身長の高さや髪の色と同じように、その人の個性と受け止めてほしい」と呼び掛けた。
聴講した保護者の女性(47)は「時代の変化はニュースを見て感じていた。多様な性についての教育は良いことと思う」と話した。