「TOKYO」意外と知られてない…「京都」と間違われる“屈辱”

東京と京都の違いが分からない-。
 海外ではヨーロッパを中心にそんな声が多く、日本の首都の存在が意外に知られていないとして、東京都が6年後の東京五輪を前に「トーキョー」の認知度アップに向けて知恵を絞っている。今月7日には有識者会議を開き、効果的なPR方法の検討を始めた。「東京を世界一の都市に」と繰り返す舛添要一知事だが、実現への道のりは近そうで遠い。(伊藤鉄平、福田涼太郎)
 ■関西周辺回って 「東京に行ってきた」
 「日本は知られているが、東京の名前は意外に知れ渡っていない」と都の担当者は嘆く。アジア諸国はともかく、ヨーロッパなど遠く離れるほど「日本の首都は『キョート』じゃないのか」と認知度が極端に下がるという。
 実際、ボランティアで外国人観光客らをガイドするNPO法人「東京シティガイドクラブ」(文京区)は「大阪の空港に到着し、京都など関西周辺を回って同じ空港から帰国した外国人が『東京に行ってきた』と後で話していたという話を聞いた」と苦笑いする。
 東京を日本の首都だと理解しているとしても、「来日した人でも、地図上で東京の位置が分かる人はほとんどいないのでは」と指摘する。
 ■プレスツアーで 直径12メートルのトンネル見学も
 観光庁が平成25年、外国人旅行客約1万5千人に訪問先を聞いた都道府県別ランキングで、東京は1位をキープしたが、その理由は「成田空港が近いため」(同庁)。2位の大阪、3位の京都を合わせ、歴史的な建造物の多い関西圏の人気が高い。
 都は2020年開催の東京五輪を世界的な注目を浴びるチャンスととらえ、イメージアップを図って、観光客の誘致などにつなげようと計画。
 今年度は既に、英語やドイツ語など6カ国語を駆使するという舛添知事が、東京・有楽町の外国特派員協会で会見して都政についてアピール。さらに、在京の特派員を招いたプレスツアーを開き、洪水を防ぐために東京の地下で雨水を貯める目的で設置された直径12メートルのトンネルを見学してもらうことなどにも取り組んでいるという。
 「災害に強い都市ということをアピールしたかった」と担当者は胸を張る一方、「役人だけで考えても良いアイデアは出ないだろう」との指摘もあり、広告代理店や国内外の報道関係者、クールジャパン担当の経済産業省職員らを集めた有識者会議を開くことにしたのだという。
 ■満員電車も 外国人にとってはコンテンツ
 今月7日に開かれた有識者会議で、舛添知事は「恐らく(東京五輪が開催される)6年後には訪日観光客数が2千万人になるだろうという状況。われわれはどうしても、少し言葉の問題もあるが、情報発信で後れを取っている」と危機感をあらわにし、都市広報での官民協力を訴えた。
 シンクタンク「ニッセイ基礎研究所」の吉本光宏理事は「時間通りの電車や朝の満員電車も、外国人にとっては興味深いコンテンツの一つ」と指摘。ニューヨーク・タイムズの東京支局長は「長らく日本に住んでいるが、新宿に着物を作る町があることを2年前にようやく知った。東京にもそういう場所があることをアピールすべきだ」と述べた。
 また、東京五輪にあたっては、海外メディア専用の窓口を設ける▽「短期滞在者でも100万回は迷子になる」ことから外国語の案内板をもっと設置する-などの要望も出た。
 都は五輪開催まで不定期で有識者会議を開くといい、舛添知事は「今後は例えばスポーツであるとか、芸術家であるとか、さまざまな分野で日本のことをよく知っている方の意見も聞きたい」と幅広くアイデアを募り、東京への理解促進や魅力発信に努める方針だ。

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