7月6日、野田佳彦首相を議長とする国家戦略会議の分科会は、国の長期ビジョン「フロンティア構想」の報告書をまとめた。そのなかで特に話題を呼んでいるのは“国家の衰退を防ぎ、個人や企業が能力を最大限生かして新たな価値を生む国家像を2050年に実現するための政策”として盛り込まれた、「40 歳定年制」案だ。
これは「繁栄のフロンティア部会報告書」のうちの「皆が 75 歳まで働くため」の施策。報告書では、定年年齢の引き上げのような制度改正は、一つの企業内に人材を固定化させ、企業内の新陳代謝を阻害し、企業の競争力を低下させることで、かえって雇用の減少につながるおそれがあるとし、「人生で2~3回程度転職することが普通になる社会を目指すためには、むしろ定年を引き下げることが必要」とする。
このことが報じられると、就職活動や転職活動など、仕事やキャリアについてよく話題にするネットユーザーらにも衝撃を与え、2ちゃんねる・ニュース速報+板に立てられたスレッド「【話題】 雇用流動化へ『40歳定年を』 政府が長期ビジョン」では、“転職が普通になる社会を目指す”といわれても将来の具体的なビジョンが見えないことから、
「もー絶対子どもなんか作れないな」
「そのあとどうすんだよってのは一切考えてない」
「これやったら失業率20パーくらい 楽に超えそうなんだが」(原文ママ)
といった悲観的なコメントが殺到。ほかにも、
「人材の固定化が問題だというなら、国会議員の多選も禁止しなければならない」
「何が酷いかってこの提言が政府主催の公的な会議ってところだ」
といった意見も。
ちなみに報告書では、40歳の定年でリタイアするのではなく、新しい職場に移ったり、同じ職場で再度雇用契約を結ぶことを踏まえた長期的な対策を提案している。40歳の定年に向け、「入社 10 年目程度の労働者に『所得補償付きサバティカル休暇』を取得」することを権利として認め、若い段階から社外との交流を拡大することを促進することが、労働市場の流動化につながるとしている。
(R25編集部)