「4630万円」問題、容疑者の“出金記録”公開……オンラインカジノ「全敗」あり得る? ITジャーナリストが分析

山口・阿武町が4630万円を誤送金した問題をめぐり、電子計算機使用詐欺の疑いで、田口翔容疑者(24)が逮捕されました。田口容疑者の口座の入出金記録から、何が読み取れるのでしょうか? ITジャーナリストの分析をもとに考えます。

■出金合計は…誤送金より3万円多く

有働由美子キャスター
「残高665円だった(田口容疑者の)口座に、(新型)コロナ(ウイルス)給付金として10万円が入金され、同じ4月8日に4630万円が誤って入金されています。4月11日には『デビット決済』や『A社』へ1日8回、送金されています」

「そして翌12日には『L社』に300万円、『M社』に400万円を送金。今回の逮捕は、この400万円についてですが、このような大金が動いています。その後も、残高はどんどん減り、最終的には6万8743円でした」

「使われたトータルの金額は4633万1922円で、4630万円の誤送金よりも3万円以上多くなっていました」

辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「間違えて行政のお金が振り込まれたと知らされた上で、この大金を、しかもこのスピードで口座から出し切るのは、すさまじい神経をしているなと思いました」

「会社の経理でも、ミスが起きないように振り込みで二重三重にチェックしているところが多いと思いますが、個人でもスマホで簡単に振り込みができるので、改めて慎重にならないといけないなと思いました」

■出金記録にある「端数」ナゼ?

有働由美子キャスター
「この出金記録から、誤って振り込まれた後に田口容疑者が何をしたのか、推測できるポイントがあります」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「ITジャーナリストの三上洋さんによると、『デビット決済』『A社』『L社』『M社』の少なくとも4社を通じてオンラインカジノを利用していた可能性があるといいます」

「出金記録では『L社』と『M社』がそれぞれ300万円、400万円と金額がきっちりしていますが、『A社』は例えば133万5897円などと、毎回1円単位の端数が記録されています」

有働キャスター
「端数はなぜでしょうか?」

小栗委員
「三上さんは『A社はドル建てで決済しているのではないか』とみています。振り込んだこの額をドルに換算すると、当時の相場(4月15日は1ドル=126円)だとほぼ1万ドル単位になっています」

「三上さんは『A社は1回の入金が上限1万ドルと決まっていて、田口容疑者はその満額を何度も振り込んでいる可能性もある』と指摘しています」

■「入金ゼロ」…3つの可能性とは

小栗委員
「そしてもう1つ気になるのが、入金ゼロという点です」

有働キャスター
「確かに、口座の入金欄は誤送金の後は空欄がずっと続いています。ということは、オンラインカジノで全部負けたということなのでしょうか?」

小栗委員
「その可能性もありますが、そうとも言い切れません。三上さんは、3つの可能性を挙げています」

「オンラインカジノ側に振り込んだお金がプールされているだけで、全てを使い切っていない可能性、そもそも賭け自体をしていない可能性、オンラインカジノを経由して別の口座に移し替えた可能性などが考えられるといいます」

有働キャスター
「つまり、オンラインカジノ側にまだお金が残っている可能性もあるのでしょうか?」

小栗委員
「そうです。比較的多くのオンラインカジノには取引履歴が残っていて、それを確認して本当にアカウント上にお金がないということが分からないと、全額を使い込んだかは分からないといいます」

有働キャスター
「その辺りも今後の捜査で明らかになるかが焦点ですが、そもそも町の大切なお金です。田口容疑者は『返す』と言うなら本当にきっちり返してください。最後まで」(5月18日『news zero』より)

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