新型コロナウイルスの感染拡大により一時は品薄となった不織布マスクだが、供給が追い付かないドラッグストアや量販店の一方で、衣料品店や飲食店など「異業種」の店頭で大量陳列されるケースが目立ってきた。中国からの輸入が増えた影響で、価格競争は激しさを増している。
福岡市博多区の博多川端商店街では大型連休明けから複数の露店が、50枚入りの1箱を2千円前後で販売している。「3千円で売るつもりだったが競合を考慮して2500円に下げ、さらに500円値引きした」とある販売員は打ち明ける。
同市・天神地区では50枚入りマスクを3500円で売る衣料品店や2千円台の宝飾品店など乱立状態だが、中には「1355円から」との看板を掲げた化粧品店も。インターネット通販の価格比較サイトでは、マスク1枚当たりの平均価格は不足感が強かった4月24日に78円だったが、14日には31円にまで下がった。
一方、ドラッグストアなどではなお品薄が続く。大手量販店は「仕入れ値が以前の10倍に跳ね上がり、扱えない」。だが、別のチェーン店は取引先の開拓で今月に入荷が急増したといい、事業者によってばらつきがあるようだ。(布谷真基、仲山美葵、黒田加那)