「BTS」がヘイト反対声明も 東京ドーム中継で差別演出?韓流アイドル「NCT」“日本人外し”の波紋

先月31日、K-POPグループ「BTS」がホワイトハウスを訪れ、バイデン米大統領と会談し、アジア人差別への取り組みを協議したことが大きな話題となった。今や、世界に向けて社会的なメッセージを発信する存在にまでなった「BTS」ら韓国アイドルだが、同じ頃、あるグループでは“日本人差別”とも取られかねない事態が起きていた。

日本人のユウタだけ映らない

 新型コロナ対策のイベントの収容人数の規制緩和もあり、各地でアイドルやミュージシャンの大型コンサートが開かれている。待ちに待ったコンサートのはずが、あるK-POPアイドルの公演を見たファンの中で「許せない」「日本人に対する差別」といった怒りの声が上がっている。

 問題になったのは、先月28日に東京ドームで行われたK-POPアイドル「NCT127」(エヌシーティー イチニナナ、通称イリチル)のコンサートである。メンバーのユウタ(26)が久しぶりに、故郷・日本のファンの前に現れる待望の公演でもあった。

 コロナ禍での日本公演中止を乗り越えたツアーということもあって、チケットは争奪戦に。そうした中、WOWOWで東京ドーム公演の模様が独占生中継・配信されることが発表され、月額2,530円(税込)の同サービスに加入するファンが殺到した。

 しかし、この生中継を見たファンは憤る。

「会場には行けなかったので、生中継でライブを楽しみました。ところがエンディングの映像に問題があったんです。最後の曲が終わると、メンバー9人がゴンドラに乗って、会場のファンに手を振ったりポーズを決めたりする演出がありました。WOWOWの中継では、メンバー1人1人のソロカットの映像が数秒ずつ流れたのですが、8人のメンバーを映したあと、日本人メンバーのユウタだけはまるでその場にいなかったように、1人だけソロの映像が流れないまま中継が終了したんです。よりによって東京ドーム公演で、“また日本人のユウタだけが差別されたのか”とがっかりしました」

 このファンがただのミスと考えないのは、NCTの演出で“前科”があるからだ。

多国籍をアピールするNCT

 日本人メンバーのユウタの人気ぶりについて、K-POPアイドルに詳しいライターは次のように解説する。

「2016年にデビューしたNCTは、韓国芸能事務所大手のSMエンターテインメントに所属する男性アイドルグループで、韓国人だけでなく、日本・アメリカ・カナダと多様な国籍のメンバーで構成されているのが特徴です。NCT全体は、23人ものメンバーがいますが、楽曲を発表して活動する時は、23人全員ではなく、いくつかのユニットに分かれる新しいスタイル。ユニットの1つであるNCT127は、2018年の日本デビュー以来、大阪城ホールを始め全国4か所8公演を成功させるなど、日本での人気が高い。今回のツアーは東京、名古屋、大阪を巡る初のドームツアーです」

 日本人メンバーであるユウタは、特に人気が高く、彼の個人インスタのフォロワーは827万人超。山下智久や山﨑賢人を抑え、日本人の男性タレント1位である。

 先のファンは、

「ユウタは、16歳の頃に韓国の事務所のオーディションを受け、単身韓国に渡りました。慣れない環境の中で努力し、NCTとしてデビューした後もメンバーやファンに寄り添う謙虚で優しい人。NCTが日本でここまでの人気と知名度になったのは、やはり日本人メンバーのユウタがいるからこそだと思います」

韓国の歌番組でも“差別”

 さて、ファンの中で、ユウタの扱いが問題になったのは今回だけではない。過去にYouTubeに公開された動画でも、“ユウタ外し”は平然と行われていたという。

 特に波紋を呼んだ3つの動画のうちの1つは、韓国のケーブルテレビMnetのYouTubeチャンネルで、2020年12月に公開された歌番組の映像である。

「この時、NCT Uという7人組のユニットで出演していたユウタは、『From Home』というバラード曲を披露しました。この曲は、韓国語だけでなく、日本語や中国語の歌詞も登場し、多国籍グループ・NCTを象徴する大切な曲なんです」

 韓国の歌番組では、パフォーマンス終了後、メンバーそれぞれのソロの映像が1、2秒程度映し出され、そこで思い思いのポーズを決めるというのが恒例になっている。

「歌い終わった後、韓国人、中国人のメンバーら6人がそれぞれソロでポーズを決めた後、再びグループ全体の引きの映像に戻り、動画はそのまま終了してしまった。ユウタ1人だけソロがカットされるあまりに不自然な演出に、“日本人だから差別されたのでは”という声があがりました」

 さらに、同時期に公開された、韓国メディアが主催するアジアアーティストアワードや、雑誌『VOGUE KOREA』の動画でもユウタ1人の映像がカットされる“ユウタ外し”が見られたのだ。

 こうした動画のコメント欄には、各国のファンから日本語や英語などで批判が殺到。『VOGUE KOREA』に至っては、〈Vogue loves YUTA! Don’t get me wrong.〉(VOGUEはYUTAを愛しています。誤解しないで)と公式が釈明する事態になった。

公演を収録したBlu-ray

 そして、今回、東京ドーム公演でもまた“ユウタ外し”が起きたのだ。

 ツイッターには、問題のエンディング部分の映像が転載され、やはり世界各国のファンから怒りの声が上がっている。

〈NCTが日本で人気になったのはユウタのおかげなのに、なんで彼の故郷でも差別するの?〉
〈そもそも差別する時点でありえないのに、日本公演だよね?〉
〈日本公演なのに、悠太くんだけ抜かれないのなんで〉
〈こんなイジメみたいなことってあるの?〉

 さらに、今回の公演はBlu-rayとして発売されることになっており、既に予約したファンも多い。キーホルダーなどグッズが付く初回限定盤は、価格1万5000円。ファンの中には〈まさかこのまま円盤化しませんよね?〉と、不安の声が上がった。

 それを受けてか、NCTの日本公式アカウントが今月4日ツイッターを更新。

〈Blu-ray作品は、ステージ構成、メンバーの表情、すみずみまで吟味した、この作品だけで観られる映像です〉と、暗にWOWOWの生中継とは違う映像になることを告知するハメになったのだ。

WOWOW、エイベックスに“差別”の意図を聞くと――

 それでは、本当にユウタだけを意図的に写さず、日本人を“差別”したのだろうか。

 WOWOWに取材を依頼したところ、

「当公演はavex様が主催・制作を担当されており、弊社は今回その権利を購入して放送をしておりました。公演内容詳細については、avex様カスタマーサポートにお問い合わせください」との回答があった。

 そこで、エイベックスに「ユウタの映像だけカットされた理由」「日本人メンバーを差別する意図があったのか」を質問したが、期日までに回答は無かった。

デイリー新潮編集部

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