「Googleマップから林道、細い路地、バス停が消えた」「建造物の情報が古くなった」「道路の形や名称、地形がおかしい」──そんな報告が3月21日夜からネット上で相次いでいる。実際に日本国内の地図が以前から変わっている他、一部の道路が欠損していたり、建物が道路に重なって表示されたりする場所が多数存在している。
Googleマップの見た目が変わってから、地図の右下にあるコピーライト表記にあったZENRINの文字が消え、「地図データ(C)2019 Google」となっている。これまで採用していた国内大手の地図メーカー・ゼンリンの地図データから、Googleが自前で用意した地図データに変更した可能性が高い。
Googleは6日、Googleマップの日本向け地図を一新すると発表。より分かりやすい徒歩ナビゲーションや乗換案内、地図のダウンロードが可能になるとしていた。今回の変更はその一環とみられる。新機能として提供する「オフラインマップ」は、地図を事前にダウンロードしてオフライン環境でも見られるようにするものだが、日本ではこれまで「契約上の制限」として提供していなかった。
ゼンリンはGoogleマップのサービス開始当初(2005年)から地図データをGoogleに提供。オフラインマップがついに日本で実装されるとの発表から、「両社で契約の折り合いがついたのでは」との見方もあったが、実際はゼンリンとの契約を終了し、Google製の地図データに切り替えて提供する方向に入ったとみるのが自然だ。
Webサービスの地図を巡っては、12年に米AppleがiOS向けに公開した自社製の地図アプリで「パチンコガンダム駅」といった誤表記が続出し、話題になった。
今回の新Googleマップは、不適切な道路の形状などが航空写真の画像に影響されている点が多数見受けられることから、「航空写真から道路の存在や形状を機械学習で検出しているのでは」「過疎地域ではスマートフォンの通過実績を使っているのでは」という指摘もある。
3月22日時点では、以前の地図が見られる抜け道がある。道路からの風景が見られるストリートビューを開き、左下に表示される地図の拡大表示を行うと、従来の地図が表示される。
Googleがこのような状況を把握していないとは考えにくく、どのような対策を取るのかに注目が集まりそうだ。GoogleマップはAndroid端末の標準地図アプリとして搭載されるなど、ユーザーも多いことから混乱はしばらく続くだろう。
一方、ゼンリンは新たな提携パートナーを見つけたようだ。20日(現地時間)、Webサイトやアプリ向けに地図サービスを提供する米Mapboxは、ゼンリンと提携して日本の地図データを強化したと発表した。