「GPSわな監視装置」好評 NTTドコモ、被災地のニーズくみ開発 狩猟者の負担軽減

イノシシやシカなどの狩猟に従事する人の負担を軽減しようと、NTTドコモグループが開発した「GPSわな監視装置」の活用が広がっている。同グループが東日本大震災の復興支援の一環として、専門の情報通信技術(ICT)を使って商品化した。わなに獲物がかかるとメールで知らせる仕組みで、見回りなどの負担が減ると好評だ。

 装置の名称は「Kagatta(かがった)」。獲物がわなに「かかった」をそのまま方言で表現した。

 装置は高さ12・5センチ、幅7・5センチ、奥行き5センチの箱型。場所を把握する衛星利用測位システム(GPS)と、獲物の捕獲情報を発信する通信機能を内蔵する。電源のない山間部でも使いやすいよう単3乾電池6本で動く。

 装置は、箱わなの場合は箱に、くくりわなの場合はワイヤでつないだ立木に設置する。獲物がわなにかかると、装置のセンサーが揺れを感知。設定先にメールで知らせる仕組みだ。ドコモの携帯電波エリア内なら、どこでも利用できる。

 NTTドコモ(東京)は震災が発生した2011年、被災地の幅広いニーズに応えるため本社に東北復興新生支援室を設けた。Kagattaは石巻市の狩猟従事者らに聞き取りをする中で「仕かけた複数のわなを毎日見回るのが重荷」との課題を聞き、開発に着手。宮城県や千葉県などで実証実験を重ねて21年2月に商品化した。

 装置の開発を担当し、現在はNTTコミュニケーションズ東北支社に移って被災地支援を続ける佐々木亮さん(47)は「獲物がかかっていることが事前に分かれば、狩猟従事者がわなに近づく際の事故も防げる。新鮮さが重要なジビエ(野生鳥獣肉)の確保にも役立つ」と効果を語る。

 イノシシなどは農作物を食い荒らすとして農家なども駆除に苦心しており、装置が普及すれば負担の軽減につながる。

 Kagattaは仙台市や山形、福島県内の自治体に採用されている。自治体が費用を負担して装置を狩猟従事者に貸与する形が多いという。

 利用には初期費用として、1グループ当たり3万3000円の登録費、1台3万3000円の本体代金、1回線当たり3300円の事務手数料が必要。月額330円のサービス利用料、月額440~1320円の通信料が別途かかる。

 連絡先はNTTコミュニケーションズkagatta-ml@ntt.com

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