「Windowsスレート」のインタビューからタッチUIの今とこれからを考える

いま「PCの時代」が終わりつつあり、ビジネスでも生活でもタブレットやスマートフォンなど新しいデバイスがPC以上に使われる、新たな時代がやってくると言われています。するとタッチUIを用いたアプリケーションの開発、特にビジネスアプリケーションの開発は、多くのプログラマ/デベロッパーが直面する新たな課題になるはずです。
そんな中、Windowsスレートについてインタビュアーとしてエキスパートの方にお話を聞く、という仕事をいただき、Windowsスレート対応のタッチUIアプリケーションを開発したお2人に話を聞く機会がありました。
インタビュー記事は日本マイクロソフトのWebサイト内にあるコーナー「Slate Style」の記事として掲載されています(記事執筆はITジャーナリストの河原潤氏)。
もともと同社のサイトに掲載される前提のインタビューだったため、Windowsスレートを中心にしたインタビューではあったのですが、ビジネスアプリケーション分野でのタッチUIの現状と今後について興味深い発言を聞くことができたと思うので、少し紹介したいと思います。
(あらかじめお知らせ:参照先のインタビュー記事は新野が仕事として依頼を受けて行ったものですが、この記事には参照先の記事やWindowsスレートを宣伝するなどの意図はありません)
タッチUIの体験がこれまで以上に差別化要因に
お話を聞いたのは、リッチなインターフェイスやユーザー体験を備えたアプリケーションの開発を得意とするセカンドファクトリーの東賢氏と、企業向けシステム構築に強いアークウェイの森屋英治氏。
お二人とも共通していたのは、タッチUIはこれまでのマウス用のUIとは違うスキルが求められるということ。例えば東氏はこのように発言しています。
例えば単純な原則として、操作に手を使うため、画面のいろいろな部分が隠れます。したがって、ボタンの配置 1つ取っても相当神経を使います。さらには、左右の手をどのように使うのかや、画面の中央は指が届きにくいといった留意点がたくさんあるのです。(東氏)
単に画面上でボタンなどのコントロールを大きくするだけではタッチUIとして十分ではないと。例えばマウスでの操作と違い、指でボタンを押すと指でそのボタンが見えなくなる可能性があったり、手の位置によって画面の大半が隠れてしまうケースがあります。それらを考慮しッチUIの特性を理解したものにしなければならないというのがお二人共通の指摘でした。
こうしたことを考慮に入れて UI を作り込むには、相当高い経験値が必要になります(東氏)
タッチUIの開発は、マウス用のユーザーインターフェイス以上に使いやすさに差が付きそうで、そこはビジネス分野のアプリケーションでもこれまで以上に差別化要因になりそうです。
タッチUIを前提にしてアプリケーションを作る
森屋氏は、PC、タブレット、スマートフォンなどマルチデバイス対応のアプリケーションを、これからはHTML/CSS/JavaScriptといったWeb標準でアプリケーションを作っていくと明言しました。これを森屋氏は「前向きなあきらめ」だとしています。
デバイスごとにネイティブなアプリケーションを開発することをあきらめて、ならばどうするかと言うと、Web 標準の技術で作るのです。(森屋氏)
森屋氏は元マイクロソフトの人で、しかもマイクロソフトテクノロジーの国内有数のエキスパートです(TechEdで講師をするくらいに)。その森屋氏が「これからはWeb標準で行く」と発言したことはインパクトのあることでした。「性能や機能で不安はありませんか?」との質問にも「私自身はまったく心配していません」とのこと。
森屋氏の発言でもう1つ大胆に感じたのは、マルチデバイス対応のアプリケーションはタッチUIの方を標準にしてしまおうという発想です。
スレート用にすぐれたタッチUIをしつらえるのではなく、フォームファクターを問わずすべてのアプリケーションをタッチUI操作前提で開発しておけば、あらゆるものに対応できるのでないか、というシンプルな発想です。
デスクトップからマウスで操作してしまうときも、もう全部タッチUIでいいじゃないかと。ただ、いまのWeb標準はタッチUIを想定した機能が揃っているわけではないため、そのあたりが課題とのことでした。
業務アプリケーションは、ミニコン/オフコンの時代を経てクライアント/サーバ型へと変化し、いまはWebアプリケーション化が進んでいます。これからはスマートフォン/タブレットの対応によってタッチUIへの変化も同時進行していくことになりそうです。

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