YouTube上の音楽やミュージックビデオを対象にした「YouTubeチャート」の日本版が、2018年5月14日から始まった。米国をはじめとする44か国が対象で、YouTube上での再生回数を元に集計された「楽曲」「ミュージックビデオ」「アーティスト」の3つのランキングがある。
日本版の初週は、シンガーソングライターの米津玄師さんがそれら3つの部門で首位を独占。さらに、楽曲、ミュージックビデオランキングにはトップ10に4曲を送り込み、人気の高さを見せつけた。
楽曲、ミュージックビデオ、アーティストランキングで3冠
YouTubeの発表によると、これらのチャートは「純粋な視聴数」に基づいたもので、ミュージックビデオランキングはシンプルに視聴数のみを反映して生成される。
楽曲ランキングは、公式のミュージックビデオだけでなく、その楽曲を使用してユーザーが作成した動画や歌詞動画など、同一曲の様々なバージョンの合計再生数を集計し、アーティストランキングはそれらに加えて公式のライブ動画やリミックス、コラボレーションなどの再生回数を加味した物になっているという。これら3種はいずれも日本時間の毎週月曜日に更新される。
前の週の結果を発表するそれらとは異なり、注目を集めている動画が並ぶのが毎日複数回公開される「急上昇」のランキングで、よりリアルタイム性が高くなっている。
米津さんはこのうち急上昇を除く3つの首位を独占。楽曲ランキングとミュージックビデオランキングの1位にはTBSドラマ「アンナチュラル」の主題歌「Lemon」が輝いたほか、シンガーソングライターのDAOKOさんとのコラボ楽曲「打ち上げ花火」を4位に、俳優の菅田将暉さんとのデュエット曲「灰色と青」が5位に、6位にはアニメ「僕のヒーローアカデミア」の主題歌にもなった「ピースサイン」がランクインした。
どの都市や国で再生されたかといった詳細を見ることも可能で、国内では大阪府、国別だと日本、台湾、英国と続き、国外での人気の強さも垣間見える。
音楽プラットフォームとして無視できないYouTubeの存在感
米津さんはCDを主体としたオリコンのランキングでは、今のところ週刊シングルチャートの1位を獲得したことはない。そのオリコンの直近の週間ランキング(4月30日~5月6日)では、HKT48、乃木坂46がそれぞれ1位、2位を占めている。
一方かつてはCDがメインだった音楽の視聴手段は、ダウンロードを経てストリーミングが主流になりつつある。
一般社団法人・日本レコード協会が発表した2017年度版の「音楽メディアユーザー実態調査」によると、「主な音楽聴取手段」(複数回答可)としてCDを挙げた人が54.6%だった反面、YouTubeを挙げた人は61.6%と最も高かったという。
そのため、現代において、YouTubeを音楽プラットフォームとして使う人の影響力は無視できない。
そうした背景に加え、視聴回数という分かりやすい指標から、
「若い子に聞く流行りとだいたい一致してる!」
「逆に今までなんでなかったんだろうってくらい、いいね?」
「時代の音楽ニーズが明確に見える」
「実際にどれだけの人が時間を使ってるのかがわかるチャートにこそ意味がある」
と、新たな音楽チャートの登場には好意的な声が多数上がった。