『おたからや』のヤバい実態

全国に1200店舗以上を展開する買取専門店『おたからや』。タレントのコロッケをイメージキャラクターに据え、フランチャイズ経営でここ数年、急成長している企業である。 【画像】『おたからや』がオーナーに送った「買取拒否」証拠メール そんな業界最大手企業のずさんすぎる経営手法について、全国から被害の声が上がっている。フランチャイズ契約を結んだ7人のオーナーが東京地裁に対して経営母体の『いーふらん』(本社・神奈川県横浜市)を7月に提訴。同月に行われた会見では本社の適切な指導・援助がなく廃業したとして3980万円の賠償を求めて提訴したことが明らかにされた。担当代理人の川上資人弁護士は「加盟店を増やしロイヤリティーや協賛金を集める目的だったのではないか」とし、不当に加盟者を集めたとして独禁法違反であると公正取引委員会にも措置を求めている。 「私は2020年にオーナーの権利を得ました。月に55万円をロイヤリティーなどとして本社に払わなければならない契約になっていましたが、それでも十二分に利益が上がるという説明を受けていたので心配はそれほどしていなかったんです。というのも、おたからやには『絶対に儲かる仕組み』があるとの説明を受けていたからです」 そのように語るのは、大阪の大きな私鉄駅近くで飲食店を経営していた40代の男性Aさんである。その「仕組み」とは、フランチャイズ店が客から購入した品を本社が買取価格の5~6倍で買い取るというものだった。Aさんは何度となくこの説明を受け、信用した上で契約を結んだという。 「本社が、我々が買い取った品を高値で買い取る仕組みなので、開業当初は楽観視していました。しかし、営業を初めたら本社の担当者の態度は一転。中古のカメラなどを買い取り、写真を添えて商品のデータを本社に送ったんですが、査定結果は0円という返事の繰り返しでした。これでは商売は成り立ちません。看板を上げて一週間のお客さんは0人でした。『努力が足りない、もっと広告を打て』と本社からは言われましたが、広告と言っても例えば新聞の折り込みチラシなどでイメージキャラクターのコロッケさんの写真を使うと別途料金が追加されるシステムなのでエグイ商売しているなと感じました」 それでもAさんは住宅街を回って買い取り商品を宣伝するなどして、店には1日に数人の客が足を運ぶようになった。しかし、そんな地道な努力さえも裏切られる事態が発生する。 「出店して数ヵ月後、徒歩圏内におたからやの別のフランチャイズ店が開店したんです。そんなことも聞いていないのに、『開店するのは自由だ』と本社は言い張っていました。それまでのずさんな対応なども含めて商売をしていくことは不可能だと判断し、弁護士さんに相談し、契約不履行であるとして契約解除を申し入れました。 ところが本社はそれでも契約は存続しているとしてロイヤリティーなどの毎月55万円の支払いを請求し続けています。今でも計880万円を支払えというメールが届いています。本社の『いーふらん』の意味は『いいフランチャイズ』の略らしいのですが、全然よくないですよ。これ以上被害者が増えないことを願うばかりです」 ◆研修会だけで参加費100万円 関西在住の50代のBさんもおたからやの被害にあった一人だ。2019年暮れにオーナーになろうと考え、『いーふらん』と何度か連絡を取っていた。加盟店になるためには研修会に参加して受けなければならないというのでBさんは本社近くの研修の会場に出向いたという。 「会場には40人くらいの受講生がいました。どの方も自分が一国一城の主となってどんどん儲けるんだという気合い溢れていました。年齢的には50代以上の方々が多く、定年をして退職金を元に第二の実業家の道を進みたいという希望を持って参加している様子でした。宝石や宝飾品などの鑑定方法や接客について、約2週間行われる研修会の参加費はコースによって異なりますが、私の場合は一人100万円でした。研修中はスマホを会場後ろの棚に入れて録画録音を禁止されます。ノウハウを外に出さないという意味だと思っていましたが、後で考えると研修の時の誇大セールスを記録させないという目的があったのだと思っています」 それから、横浜駅近くのビジネスホテルに泊まりながらの研修会通いが始まった。 「指導をする講師たちはおたからやの社員たちであり50代の方や30代ぐらいの若い方もおりましたが、執行役員だと自己紹介をしたIさんのマイクを握っている左手の小指の先が欠損しているのを見て驚いたのも覚えています。180cmぐらいの恰幅のいい、優しそうな語り口の方ですが、無言の圧力を感じました」 Bさんは研修会で店舗が買った品を本社が高く買い取るシステムが明文化されていないことに対し疑問を口にした。すると別室に呼ばれることになった。そこはパーテーションで区切られており、何人かが相談をしている様子だったという。 「別室に向かうとIさんが出てきました。最初は優しかったんですが、しばらくすると態度が豹変し『そんなに文句をいうのならオーナーをやらせないぞ』とか『おお、出るとこに出たらいいじゃないか。裁判でもなんでもしたらいい』と啖呵を切るようになったんです。他のブースからは恫喝する声も聞こえてきて、殺伐な雰囲気でした。あまりに信用できないので、そこで研修会を辞めることにしたんです」 7月下旬、本誌は『いーふらん』に事実確認の取材を申し込んだところ、I氏が直接、説明に応じた。I氏は「被害者団体からの訴状はまだ届いていない」と前置きしながらも、次のように答えた。 ーー買取した商品について、基本的に本社がフランチャイズ店から5~6倍の値段で買い取ると説明してオーナーを勧誘していることは事実ですか。 「それについてはお答えを控えさせていただきます」 ーーI氏が研修で恫喝的な言動をとっていたという証言もあります。こちらは事実でしょうか。 「それは記憶にありません」 その後も歯切れの悪い回答に終始したI氏。本誌は被害者団体の川上弁護士に訴状の提出を確認した上で、改めて8月下旬に『いーふらん』に事実関係の確認を行った。しかし電話口で対応した女性は、 「担当者がいないのでお答えすることはできません」 の一点張り。担当者からの折り返しをお願いしたものの、その後の連絡はなかった。 『おたからや』の勧誘実態については追々裁判で明らかになることであろうが、被害者たちの夢を奪ったことは事実である。

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