『arrows』『らくらくスマートフォン』シリーズ展開の「FCNT」など3社(神奈川、兵庫)が民事再生、大手スマホメーカーでは初

携帯電話の企画から開発、製造などをグループで一貫して手がけるFCNT(株)(TDB企業コード:013023835、資本金91億9650万円、神奈川県大和市中央林間7-10-1、代表田中典尚氏)と、ジャパン・イーエム・ソリューションズ(株)(TDB企業コード:384023065、資本金16億5250万円、兵庫県加東市佐保35、代表髙橋英明氏)および両社の持ち株会社であるREINOWAホールディングス(株)(TDB企業コード:657024223、資本金89億4055万円、神奈川県大和市中央林間7-10-1、登記面=東京都港区芝4-13-3、代表髙田克美氏)の3社は、5月30日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。  3社は、富士通グループの携帯端末事業を投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループ(株)に譲渡するにあたり、携帯端末事業の運営を目的として2018年(平成30年)1月に設立された。

FCNTが入居するビル

 FCNT(株)(旧商号:富士通コネクテッドテクノロジーズ(株))は、スマートフォンやタブレットなどのモバイル通信機器や情報端末機器の開発から販売、サポートまでを手がけ、製造はジャパン・イーエム・ソリューションズ(株)が手がけていた。古くはNTTdocomoのiモード端末など富士通製として約30年に及ぶ開発実績を有し、「arrows」ブランドは高い知名度を誇ったほか、高齢者向けの「らくらくスマートフォン」シリーズも使いやすさが評価され市場に浸透するなど技術・開発力を生かして大手キャリアのほかMVNO事業者向けに製品を提供、2021年3月期の年売上高は約965億3900万円を計上していた。  ジャパン・イーエム・ソリューションズ(株)(以下、JEMS)も富士通グループが手がけていた携帯端末事業およびユビキタス関連事業を承継し、スマートフォンを中心に携帯端末の製造やパソコン、医療向けなどのモニター、プリント回路基板の製造を手がけ、2021年3月期は年売上高約832億1800万円を計上していた。  コロナ禍における巣ごもり需要や5Gスマートフォンへの買い替え需要などが追い風となる一方、携帯ショップの営業時間短縮による販売鈍化や廉価機種を選択する消費者増加による販売単価の低下、半導体不足による仕入れ価格上昇からFCNTの2022年3月期の年売上高は約843億5500万円に対し最終赤字を計上し、JEMSの2022年3月期の年売上高は約695億5300万円にとどまっていた。  2022年3月期の負債はFCNTが約733億6000万円、JEMSが約367億9000万円、REINOWAホールディングスが約329億5600万円で、3社合計の単純合算では約1431億600万円。

『arrows』ブランドを展開

 負債規模としては、当社グループ全体ではユニゾホールディングス(株)(東京都、4月民事再生法、負債1261億9800万円)を抜いて今年最大となった。

タイトルとURLをコピーしました