【マニュアル】働く仲間が「新型コロナウイルス」に感染した時の対応

3月11日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が、新型コロナウイルスについて「パンデミック(世界的な大流行)とみなせる」と表明しました(WHOがパンデミックと認定したのは2009年に流行した新型インフルエンザ以来11年ぶり)。日本でも新型コロナウイルスの感染者は567人、死者は12人に増え続けています(3月11日現在、厚生労働省発表)。

 そこで今回は、新型コロナウイルス感染リスクの高いスーパーマーケットで働く仲間で罹患者が発生した時にどうしたらよいかを整理しました。   

※罹患者(りかんしゃ)=病気にかかった人

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「濃厚接触者」はどんな人を示すのか

 毎日の報道で「濃厚接触者」という言葉をよく耳にしますが、定義は次の通りです(国立感染症研究所感染症疫学センター)。 ①新型コロナウイルス感染症が疑われる者と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者 ②適切な感染防護無しに新型コロナウイルス感染症が疑われる患者を診察、看護もしくは介護していた者 ③新型コロナウイルス感染症が疑われる者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者 ④手で触れること、または対面で会話することが可能な距離(目安として2メートル)で、必要な感染予防策なしで「患者」と接触があった者(患者の症状やマスクの使用状況などから患者の感染性を総合的に判断)

対応は5つに分けて考える!

①部門横断の対策本部を立ち上げる。他の従業員への指示、広報、物流体制等の確認を行う。 ②職場や店舗の仲間への感染が判明した時の報告ルールを明確にする(例:所属長から店長、さらに対策本部へ) ③情報は正確に素早くを開示する(例:感染場所の同僚へ所属長より説明を行う) ④濃厚接触者は自宅待機させる ⑤感染場の消毒を行う(例:罹患者が判明した当該フロアは閉鎖し共用部含め清掃・消毒)  ※下記の「店舗の消毒方法」を確認してください。

個人情報の扱い方について

(1)必ず、最寄りの保健所に報告し、自社の対応について相談すること (2)検査後「陽性」と判定された場合、本人同意を得た上で濃厚接触者を特定するために個人名を開示する場合もあります。本人の同意が困難な場合でも、公衆衛生の観点から、個人名の開示をしなければならない場合もあります。本人への十分な説明と理解を得る必要があります。

店舗の消毒方法は「こうする!」

1.使用する薬剤と資材について

 次亜塩素酸ナトリウム/防護服/ゴーグル/マスク/ビニール手袋/汚染除去可能な履物またはシューズカバー/ゴミ袋/靴消毒用のコンテナボックス/バケツ(人数分)/キッチンペーパー(人数分)

2.消毒液の作り方(例)  次亜塩素酸ナトリウムの希釈方法は、次の計算式を利用します。  作りたい量(ml)×0.001(1000ppm)/原液の次亜塩素酸ナトリウムの濃度(%/100)=原液の量(ml)

3.消毒(清拭)区画(1)「感染の疑いおよび陽性者」の手が触れたと推測される箇所を清拭する  作業人員は感染リスクを考慮し増員を予定しておく/作業時間は閉店後から開店1時間前まで/作業箇所は消毒(清拭)区画および対象物

(2)「感染の疑いおよび陽性者」が働いていた区画を清拭する①売場従事者(本人)の場合〈勤務区画〉事務所、休憩室、会議室、更衣室、従事者トレイ、バックヤード通路、ゴミ庫、イートイン、レジ、カウンター、サッカー台、風除室 〈消毒(清拭)箇所〉各ドアノブ、ハンドル、取っ手、手すり、電気スイッチ、電話機、キーボード、ロッカー、机、椅子、スイングドア、台車、カゴ車、レジ、サッカー台、買物カゴ、買物カート、自動販売機、その他不特定多数の人が触れる部分 ②作業従事者(本人)の場合〈勤務区画〉事務所、休憩室、会議室、更衣室、従事者トイレ、バックヤード通路、ゴミ庫、「感染の疑いおよび陽性者」が従事する作業室 〈消毒(清拭)箇所〉各ドアノブ、ハンドル、取っ手、手すり、電気スイッチ類、電話機、キーボード、ロッカー、机、椅子、各ドア、台車、カートラック、作業室の什器類、その他従事者が触れる部分

4.消毒(清拭)作業手順 ①事前に希釈済みの次亜塩素酸Na1000ppm(以下、「溶液」という)を100㎖程度、持参する。 ②入店前に防護服・ゴーグル・マスク・ゴム手袋、履物を着用する。 ③入店前に屋外ドアノブやセキュリティボタンなどを清拭する。 ④入店後、ボックスコンテナに溶液を張り、それを出口付近に配置する(履物消毒用)。また、ゴミ袋も用意しておく(使用済みの防護服、マスク、ゴム手袋等の廃棄用)。 ⑤人員分のバケツに溶液と必要な枚数のキッチンペーパーを浸しておく。 ⑥手前から順次キッチンペーパーで消毒(清拭)し、通路床に捨てながら次に移る。床の素材が変色する恐れがある場合は廃棄用のゴミ袋を持ち歩く(水分を含んだキッチンペーパーは重くなるのでカゴを用意する)。 ⑦最終区画まで作業を終えたら、帰路動線上の床に捨てた使用済みキッチンペーパーをバケツで回収する。 ⑧回収したキッチンペーパーは、清掃用シンク等で十分に流水後、絞って廃棄する。 ⑨使用済み防護服は完全に廃棄する。担当者の手洗い消毒を行う。 <注意事項>※1.酸性の薬剤、洗剤等と混ぜると有害なガスを発生するので十分注意する。閉鎖空間では必ず換気を行うこと。2.金属類は腐食するので、浸漬時間5分~10分を考慮した上である程度までの区画の清拭を終えた段階で水拭きを行い、腐食を防ぐ。3.清拭する部分に水分および有機物が付着している場合、次亜塩素酸Naの濃度が低下し十分な効果が得られなくなるので、事前に清掃と拭き取りが必要。4.消毒作業にあたってはハンドスプレーボトルの使用は危険性が伴うため禁止とする。5.作業中に気分が悪くなった場合は、空気の新鮮な場所で安静にする。6.次亜塩素酸ナトリウム溶液が皮膚に付着した場合は、すぐに大量の水で洗い流す。7.溶液は全て使い切るように少量で数回に分けて作る。

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