メルセデス・ベンツ日本は4日、電気駆動SUVの新型車、『EQC』を日本市場で発表した。EQCは、日本におけるメルセデスベンツ初の電気自動車だ。メルセデスベンツが電動専用車種として本格的に市場展開する初の電気自動車でもある。
EQCは電気のみを動力源としており、モーターは最大出力408PS(300kW)、最大トルク765Nmを発生する。航続距離はWLTCモードで400km(欧州仕様での試験結果)だ。充電は、6.0kW(日本における200V・30A充電)までの交流普通充電と、50kWまでの直流急速充電(CHAdeMO規格)に対応している。
デザインは、メルセデスベンツで電気自動車固有のデザインを採用した初のモデルとなり、そのエッセンスは今後と登場する同ブランドの電気自動車にも採用されるという。
メーカー希望小売価格(消費税10%込み)は「EQC400 4MATIC」(右ハンドル)が1080万円、導入記念の特別仕様「EQC Edition
1886」(右ハンドル)が1200万円。「Mercedes-Benz Online
Store(メルセデスベンツ・オンラインストア)」では18日午前11時から先着順で、EQC Edition
1886のウェブ商談予約を開始する。納車はEQC Edition 1886は本年10月以降、EQC400
4MATICは2020年春以降になるという。
◆初めての電気自動車の不安を減らす
リース契約満了時に残価の差額清算が不要(走行距離や車両の状態による)なクローズエンドリースを用意した。メンテナンスについては5年間、10万kmまでの一般保証と無償プログラムの「EQケア」を全車標準設定し、高電圧バッテリーは8年または16万km以内で、サービス工場の診断機により高電圧バッテリー残容量が70%に満たないと診断された場合の保証を付帯する。
さらに、 全国約2万1000基ある充電器利用料および月額基本料を1年間無料とし、6.0kW(30A)対応の交流普通充電器本体を無償提供するほか、ウォールユニット無償提供を希望すれば、設置費用について10万円をサポートする。
◆ドライブモード、回生モードを選べる
EQCのパワートレインは、前後アクスルにそれぞれ1つずつモーターが搭載されている。低中負荷領域では、効率を高めるため、フロントのモーターのみで走行し、走行状況に応じてリアのモーターを稼働、前後トルクを調整する。減速時には、前後両方のモーターをオルタネーターとして使用することで、回生ブレーキによる減速効果を高める。高電圧バッテリーはリチウムイオンを採用しており、前後アクスル間のフロア部に搭載されている。
電気自動車の
電力消費率や航続距離は運転スタイルによって変わり、EQCでは特性の異なる複数のドライブモードを備える。搭載されているドライブモードは、デフォルトの「コンフォート」モード(運転の仕方によってはダイナミックな特性に自動的に切り替わる)、効率重視で電力消費率を抑える「エコ」モード、「スポーツ」モード、走行特性、サスペンション特性、ステアリング特性を個別に設定できるカスタマイズ可能な「インディビジュアル」モードの4種類。
バッテリーへのエネルギー回収量もステアリングホイール裏のパドルにより4段階の調整が可能だ。「D- -」は強度の回生ブレーキで、ほとんどの場合、回生ブレーキだけで充分な減速が得られるという。
◆MBUXは電気自動車固有の機能にも対応する
EQCにはテレマティクスサービス「Mercedes me
connect」が標準設定され、「24時間緊急通報サービス」などを最長10年間無償で提供する「安心安全サービス」、Send2Carなどを3年間無償で提供する「快適サービス」の2つのサービスが標準で設定される。Mercedes
me
connectにはEQC専用のプログラムとして、EQオンラインナビゲーション、充電ステーション情報、出発時刻・プリエントリークライメートコントロールの設定、エナジーフローや電費情報の表示、最大充電電流の設定が用意される。
また、対話型インフォテインメントシステム「MBUX」では、従来の会話のほか、「充電ステーションを探して」、「8時までに車のクライメートコントロールを設定して」など、電気自動車固有の機能にも対応する。
さらに「EQオンラインナビゲーション」は、ナビゲーションのマップデータから得た勾配情報、充電ステーションの位置情報、車両の充電状況及び気温情報などを総合的に判断し、どこで充電すべきかも含めた適切なルートを案内する。充電ステーションの情報をナビゲーション上に表示することもできる。
◆発表記念特別仕様車 EQC Edition 1886
EQCの発表を記念して、特別仕様車「EQC Edition 1886」を日本限定55台で販売する。「Edition 1886」の由来は、ダイムラーの創始者であるカール・ベンツとゴットリープ・ダイムラーがそれぞれ別々にガソリン自動車を完成させた1886年にちなむ。ダイムラーにとって、電気自動車による新しい時代の幕開けを記念するそうだ。
EQC Edition 1886は、EQC 400
4MATICをベースに、エクステリアには、専用のブラックルーバーのラジエターグリル、専用のサイドエンブレムや白のアクセントが特別な専用の20インチ10スポークアルミホイールを採用する。インテリアには、シートの外周部がインディゴブルーのレザーARTICO(人工皮革)、内側のバックレスト部分に黒い起毛素材のDINAMICAのシートを採用し、そのバックレストや専用のフロアマットには“1886”の刺繍が施される。センターコンソールのカップホルダーのフラップには“1886”を示すバッジが装着され、シルバー基調の専用のマトリックスインテリアトリムとなる。