自動車産業に未来はない!! こう書くと、少しばかり刺激的すぎるかもしれないが、その未来は決して明るくはないだろう。少なくとも日本では十数年もすれば、きわめて厳しい局面を迎えていても不思議ではない。
資源の乏しい日本では、モノづくりこそが最も重要な産業となる。ただ、製造業といっても、脚光を浴びる業界は時代によって繊維、鉄鋼、家電…と移り変わってきた。
今は、自動車が産業界の主役といわれているが、すでに日本では絶頂期を過ぎてしまったのではないか。
販売台数の減少もあるが、何よりも自動車がどう進化しても、私たちの生活を劇的に向上させることはないからだ。言い換えれば、それだけクルマが生活に密着しているという表れかもしれない。
ただ、もはやクルマが何かを変えるというインパクトはゼロ。新車のテレビCMでは「感動」を連発するが、クルマに乗り、感動することは今の時代において皆無なのである。
メーカー側の開発テーマも燃費の向上、環境対策、事故防止とマイナス面の解消が中心。どうせなら新車開発を完全凍結し、衝突しても死亡事故を絶対に起こさないクルマの開発に研究開発費を集中すると宣言すれば、拍手喝采(かっさい)だが、収益の確保からそうもいかない。中国、ロシアなどの有望市場があるため、今後も自動車メーカーは成長するだろうが、そこにクルマそのものに対する新たな期待感やワクワク感は存在しない。
自動車が登場したときのように、生活を一変させる可能性を持った産業は今のところ「医薬品」と「エレクトロニクス」ぐらい。画期的な新薬、画期的な家電製品が開発されれば、今よりも生活は豊かに、そして快適になるはずだ。
きょう31日、企業の大半は年度末を迎える。パロマや不二家、北陸電力と新聞紙上をにぎわした企業のニュースは後ろ向きなものばかり。2007年度は成熟しつつある自動車に代わり、医薬品、IT分野から明るいニュースが発信されることを期待したい。(島田耕)
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