【民泊アジトに特殊詐欺】「まさか犯罪の拠点とは」住民絶句、民泊揺るがす不祥事また

新法の施行が15日に迫った民泊をめぐり、信頼性を揺るがすような事態がまたも明らかになった。国家戦略特区制度に基づいて大阪市が認定した「特区民泊」の施設が、特殊詐欺のアジトとして悪用されていた。近隣住民は「民泊がまさか犯罪の拠点だったとは」とショックを隠せなかった。

「何もしてないって。おかしすぎる」。この日午後10時20分ごろ、大阪市西成区千本南の住宅街にある民泊施設。捜査員に囲まれて玄関から出てきた詐欺グループのメンバーとみられる男は、泣きながらそう叫んでいた。

アジトになっていたこの施設は、一見どこにでもありそうな2階建ての家屋だが、郵便受けには「国家戦略特別区域外国人滞在施設」の表示があった。管理会社などによると、以前は民家だったが、約1年前に特区民泊になり、アジア系の外国人らが頻繁に利用していたという。

近くに住む会社員の男性は「民泊だから、知らない人が出入りしていても不審に思わなかった。犯罪者の隠れみのになるなら、民泊制度自体に疑問を感じざるを得ない」と話した。

特区民泊は、これまで旅館業法などで規制されてきた宿泊施設の営業条件を緩和し、急増する訪日外国人客に対応するのが狙いだ。一定の条件を満たせば営業が認められるが、市の立ち入り権限などは規定されていない。

現状では、規制緩和の一環であるこうした特区民泊でさえ「制約が多い」として、違法民泊が横行しているのが実態だ。大阪市内では2月、こうした“ヤミ民泊”で女性の切断遺体が見つかる事件が発生。市は大阪府とともに「違法民泊撲滅チーム」を設置して、対策に乗り出したところだった。

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