仙台市宮城野区の市南蒲生浄化センターで2022年2月にあった火災を巡り、火元の汚泥焼却炉に欠陥があったとして、市が整備に携わった東京の事業者2者に計76億2544万円の損害賠償を求める訴えを起こす方針を固めたことが19日、分かった。12月に提訴する予定。
市などによると、東日本大震災の津波で全壊し、再建されたセンターには4基の汚泥焼却炉があり、4号炉が火災を起こした。炉内に焼却灰が溶けて固まった塊「クリンカ」が付着して肥大化。重油の噴射口が覆われて局所的な燃焼が発生し、高温になったことが原因とみられる。
市は事業者側が(1)安全確保機能の不備(2)焼却温度の不適切な設定などでクリンカが発生しやすい構造-といった欠陥状態で4号炉を引き渡したと主張する見通し。損害賠償請求額の内訳は、4号炉の建設費用61億1624万円、解体撤去費用9億5061万円など。
火災事故の翌月から、市は焼却炉の運転管理業務の委託業者を含めた4者で、責任の所在や復旧工事の条件などを協議。未知の欠陥が発覚したため、市は修復や損害を請求する「瑕疵(かし)担保請求権」の消滅時効を停止する措置も取った。
協議の結果、復旧工事を断念。損害賠償の負担割合を巡って交渉がまとまらなかった。火災事故後、廃炉にしていた1号炉を復旧し、4号炉の代替施設として再稼働させた。