【独自】じもとHD、歴代役員18人に計5200万円相当の株式報酬 「業績連動」も目標達成は1度もなし

仙台銀行ときらやか銀行(山形市)を傘下に持つじもとホールディングス(HD、仙台市)が2017年3月期に業績連動型株式報酬=?=を導入後、歴代18人の役員が計5200万円相当の株式を受け取ったとみられることが22日、分かった。開示されている文書によると、「業績連動」と言いながら、指標とする連結純利益が目標に届いたことは一度もなかった。
(経済部・菊間深哉)

 じもとHDの有価証券報告書(有報)などによると、業績連動型株式報酬の運用状況は表の通り。

 同社は19年3月期と20年3月期の有報で、前期(前事業年度)の連結純利益の目標や実績として事実と異なる金額を記載しており、表は実際の金額に直した。

 じもとHDは業績連動型の導入後、3回にわたり、計9100万円を株式給付信託(BBT)に拠出。BBTはじもとHD株を取得し、計18人の役員の退任時に株式を給付した。

 直近の24年3月期時点でBBTに残るHD株の帳簿価額は3900万円。拠出額から差し引くと、単純計算で5200万円相当の株式を給付した形になる。

 一方、業績連動の指標となる前期の連結純利益の実績を見ると、検証可能な19年3月期以降は、中期経営計画の目標をクリアしたことがない。22年3月期と24年3月期は、むしろ赤字(純損失)を計上している。

 じもとHDの担当者は河北新報の取材に「業績連動型株式報酬は、業績に応じて給付水準が決まる。目標を達成しなければ低い水準での給付になる」とコメントした。

 国は役員報酬を巡る有報の記載に関して近年、内閣府令を改正するなどし、業績連動指標などの算出方法を具体的で分かりやすく投資家に開示するよう上場企業に求めているが、じもとHDは具体的な算出方法を明らかにしていない。

 じもとHDは傘下2行に注入された公的資金780億円のうち、きらやか銀の200億円返済が困難になり、国から期限の13年延期が認められた。だが、新たな経営強化計画でも「期限までに返済原資となる利益剰余金を毎期の利益で積み上げることは困難」と厳しい経営状況を訴えている。

<業績連動型株式報酬>企業が役員に対し、事前に定めた業績目標の達成などを条件に株式を給付する報酬制度。じもとホールディングス(HD)の場合、前期(前事業年度)の連結純利益の実績値と、中期経営計画で定めた前期の目標値を比べ、達成率に応じて各役員にポイントを付与する。役員は退任時、たまったポイントを1ポイント当たり1株として、じもとHD株を受け取る。各期に付与する具体的なポイント数など実際の報酬額は取締役会で決定する。

じもとHD「適切な情報開示に努める」

 じもとホールディングスは22日、役員の業績連動型株式報酬に関する有価証券報告書(有報)などに、事実と異なる記載があるとの河北新報の報道を受け「今後は、かかることがなきよう、適切な情報開示に努める」との談話を発表した。

 「業績連動報酬にかかる手続きや処理は適正に行っているが、有報などに記載する際に転記を誤った」と改めて釈明した上で「訂正や修正に向けて手続きを進めている」と説明した。

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