大崎市と栗原市にまたがる東北大六角牧場で、大型風力発電「六角牧場風力発電事業」を計画していた川渡風力発電(札幌市)が、昨年1月に取り下げた環境アセスメントに基づく国への環境影響評価準備書の再提出を見送り、計画を事実上断念したことが24日、分かった。
地元の反対で事業者「総合的に判断」
計画を巡っては、渡り鳥をはじめとする自然環境や景観、観光への悪影響を不安視する環境保護団体や地元観光協会などの声を受けて、大崎市と栗原市がともに反対を表明。事業者側は昨年1月、「地域の意見を受け止め、見直しが必要と判断した」として風車の削減や配置見直しを視野に、国に提出していた評価書を取り下げた。一方で「改めて手続きを行う」と撤退は否定していた。
川渡風力発電を運営する再生可能エネルギー開発「CSS」(札幌市)の担当者は河北新報の取材に「現行計画での準備書の再提出を見送ることにした。地元の方々に納得頂ける案を示せていない状況などを総合的に判断した」と話した。今月に入り、両市などに説明した。
計画に反対していた大崎市の住民団体「鳴子温泉郷のくらしとこれからを考える会」の曽根義猛代表は「また計画が動き出すと思っていたので、ほっとした。再生エネは適した場所、やり方で住民と話し合って進めてほしい」と話した。
準備書によると、計画では高さ最大200メートル、出力3000~6000キロワットの風車17基を建設し、総出力は最大5万キロワット。2025年4月の着工、28年11月の運転開始を予定していた。