【独自】宮城県精神医療センターを名取で建て替えの場合 がんセンター跡地が有力

宮城県が主導する仙台医療圏4病院の再編構想のうち、県立精神医療センター(名取市)について、名取市内で建て替える場合の用地として、市内で民間病院に統合される予定の県立がんセンター(同市)の跡地が有力視されていることが11日、分かった。

 精神センターの建て替えは(1)富谷市に本院を移し、名取に分院を置く(2)名取から富谷に段階的に本院機能を移す(3)名取で建て替える-の三つの方向性が検討されている。

 複数の関係者によると、県は県精神保健福祉審議会の委員への説明で、(3)を選んだ場合の用地は、がんセンター跡地が有力との趣旨の発言をしたという。

 昨年12月、がんセンターと仙台赤十字病院(仙台市太白区)は統合病院を名取市内の民有地に整備する計画で基本合意。統合病院の開院は30年度で、がんセンター跡地が空くまでに一定期間を要するが、一から造成せずに済む利点がある。

 精神センターの建て替えは、精神科単科では限界のある身体合併症対応の強化が大きな狙い。三つの方向性のうち(1)と(2)は同じく富谷移転する東北労災病院(青葉区)との連携が見込めるが、(3)は現時点で具体的な対策が見えていない。

 県は13日の審議会などを通じ専門家や当事者の意見を聞き、方向性を決める。

 県保健福祉部の志賀慎治部長は取材に「建て替えの用地は決め打ちしていない。名取での建て替えは身体合併症対応という課題が残っており、まずはこれを解決できるのかを専門家らの意見を聞きながら考える必要がある」と強調した。

 名取市内の他の県有地の利用に関して県は、精神センター向かいのグラウンドは「敷地前の県道との高低差が大きい」、現在地での建て替えは「入院患者らの療養環境が悪化する」など、いずれも否定的な見解を示してきた。

 名取ではがんセンター西側の山林の地権者も精神センターの誘致を求めているが、県は新たな土地の取得より既存の県有地の活用を優先する考え。

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