【独自】東北整備局が復興道路の妥当性判断へ 第三者機関から聴取 福島・富岡

 東京電力福島第1原発事故で一時全町避難した福島県富岡町で県が進める「ふくしま復興再生道路」の整備事業に一部地権者が反対している問題で、東北地方整備局が、事業の妥当性について第三者機関から意見聴取していたことが29日、分かった。同種の事業では異例。地権者の意見を考慮したとみられる。

[事業認定手続き] 国や都道府県などから申請された事業について、土地や建物などを収用し使用するに値する公益性があるかどうかを審査する。地権者への補償金の額などを決める収用裁決手続きの前段に当たり、事前説明会の開催や申請書の公告・縦覧に加え、請求された場合は公聴会の実施などが義務付けられている。

 国土交通相の諮問機関、社会資本整備審議会の公共用地分科会に諮り、8月に審議。事業計画に公益性があるとする整備局の見解に、研究者ら委員から反対意見は出なかったという。整備局は土地収用法に基づき、年内をめどに事業認定の可否を判断する見込み。

 同法は、事業を審査する機関の意向と相反する内容の意見書が出された場合、第三者機関の意見を聴き、その内容を尊重する義務を課している。

 整備局の担当者は「今回意見書は提出されていないが、公聴会で計画にかなり意見が出たので審議会に諮った」と説明する。6月に聴取を申し出たという。

 ふくしま復興再生道路は避難解除区域などの復興や住民帰還の促進を目的に福島県内8路線で整備し、2025年度末までの全線開通を予定する。

 富岡町では、小野町と結ぶ県道小野富岡線約50キロのうち約2キロの事業化が計画され、県が23年10月、土地収用法に基づく事業認定手続きを東北地方整備局に申請した。かつての集落付近を幹線道路が通る内容に異論が上がり、整備局は今年3月に公聴会を開催。一部地権者が「集落が分断され、避難者の帰還が困難になる」とルートの見直しを求めていた。

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