【首都圏マンション異常事態】契約率11年ぶり低水準・低需要でも価格高騰 大手不動産7社の体力勝負

日本経済新聞および不動産経済研究所によると、2019年度上半期(4~9月)の首都圏マンション市場動向で、マンション平均価格が28年ぶりに6,000万円を突破したとのことです。

ただし、価格高騰の原因は建設費の上昇による所が大きく、契約率は11年ぶりの低水準、需要が低迷する中での価格高騰という異常事態となっています。

今後、首都圏マンション価格はどうなっていくのか。

大手7社に絞られた、不動産会社の動向から探ります。

首都圏マンション市場動向

© マネーの達人 提供 首都圏マンション市場動向

価格は高止まりしているが、契約率は低水準

首都圏マンション価格は、2000年度上半期には3,968万円まで下落しましたが、その後のタワーマンションブームや東京オリンピックの開催決定を受けて値上がりに転じました。

一方で契約率と契約戸数は低水準で、2019年度上半期(4~9月)の契約率は好不調の目安である7割を下回る64.6%、契約戸数は前年同期比15%減の1万3,483戸にとどまっています。

不動産会社が新規の発売よりも在庫の圧縮を優先したにもかかわらず、契約率や契約戸数が低下しているのは、需要が低下している証拠と言えそうです。

現在は大手7社が価格維持の持久戦を展開

また首都圏マンション価格が維持されているのは、大手不動産会社による値引きをしない販売戦略だと指摘する向きもあります。

不動産会社は2001年には429社ありましたが、金融危機などで倒産が相次ぎ、現在は110社程度まで減少しています。

そして、不動産会社の中でも寡占化が進み、現在はメジャー7と呼ばれる、不動産会社7社のシェアが急上昇しています

ちなみにメジャー7は、住友不動産、三井不動産、三菱地所、野村不動産、東急不動産、東京建物、大京

となっています。

これらの不動産会社は今のところ体力があるため、値引きで販売を増やすよりも、持久戦で価格を維持する戦略をとっています

大手7社が価格維持の持久戦を展開

© マネーの達人 提供 大手7社が価格維持の持久戦を展開

どこかが持久戦に耐えられなくなるリスクも

基本的にマンション販売は、一定期間ごとに一定数を販売し、その資金を次の物件に振り向けることで成り立っています。

確かにメジャー7は、マンション販売以外に東京オリンピック関係でさまざまな施設を手掛けており、現在は運転資金などに問題がないかもしれません。

しかし、東京オリンピックが7か月後に迫る中、メジャー7の中で足並みが乱れ、どこかが値引き販売に舵を取るかもしれません。

そうなると、東京オリンピック後の海外投資家の売りも重なり、首都圏マンション価格は当面軟調推移することが想定されます

マンションは投資するものではなく住むためのものですので、物件価格の推移に一喜一憂する必要はありませんが、今後の動向には要注意と言えそうです。(執筆者:沼田 順)

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