【Web】ケータイ動画 可能性∞ 「パケ数獲得」へあの手この手

523万回-。人気映画「踊る大捜査線」のドコモ動画「係長 青島俊作」が10月末までにダウンロードされた数だ。画面とデータ容量が大きいスマートフォンが普及する中で、「ケータイ動画」の存在感を示した。NTTドコモとソフトバンクモバイルは、新高速通信サービスを発表し、動画配信の可能性を拡大。KDDIは携帯電話だけでなく、パソコンやテレビでの視聴も含めた総合的な動画サービスを提案する。携帯電話各社が描くケータイ動画の未来とは-。(池田証志)
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 「ドコモ動画を多くのユーザーに見ていただくのが目的だった。『踊る…』のファンである中高年層へ裾野が広がった」。NTTドコモの青谷宣孝コミュニケーション担当部長は、「係長…」がたたき出した数字をこう評価した。
 「ケータイが身近なメディアとして進化していく中で、動画視聴が当たり前の生活になる」として、ドコモ動画がスタートしたのは、平成20年6月。今では、ドラマやアニメなど5万タイトル以上の幅広いコンテンツを取りそろえ、動画のポータルサイトへのアクセス数は2年前に比べ3倍増という。また、昨年5月にエイベックスと立ち上げたケータイ放送局「BeeTV」の会員数は145万人にまで伸びている。
 ◆各社新たな展開
 「ヤフー動画」で培ったノウハウを活かし、昨年5月から「選べるかんたん動画」の本格提供を始めたソフトバンクモバイル。14ジャンル43コースを用意するが、「目玉は、お笑い番組『S-1バトル』やスポーツ」(同社)だ。
 4日には、高速大容量通信サービス「ULTRA SPEED」を来年2月以降に開始すると発表。同サービス「クロッシィ」を提供する予定のNTTドコモ同様、動画配信の品質アップを視野に入れている。
 一方、au向け音楽配信サービス「LISMO」で知られるKDDIは、15年11月に動画配信を開始。ドラマとお笑いのオリジナル動画に注力し、昨年末から始めた高画質ビデオサービスで3000本の動画作品を提供するなど、動画にも本腰を入れる。同社は「動画サービスはケータイだけでは完結しない。パソコンやケーブルテレビ、DVDレンタルまで、総合的な楽しみ方を提案したい」としている。
 ◆乗り換え防止も
 各社がケータイ動画に力を入れる理由の一つは、「パケット数の獲得」だ。受信パケット数の大きい動画を見てもらうことで、より多額のパケット料を得ることができる。ユーザーがパケット料の定額制に移行すれば、安定的な収入が生まれる。
 もちろん、他社への乗り換えを防ぐ効果もあることから、各社とも「ケータイ動画単体で赤字か黒字かという見方はしていない」と口をそろえる。
 ケータイジャーナリストの石野純也さんは、「ケータイ動画は時間や場所を選ばず見られるのが長所。画面の大きさや画質ではスマートフォンの方が上だが、どんな端末でも、プレミアムなコンテンツを作ることができればうまくいくだろう」と語った。

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