◆BOOK 1位~25位/26位~50位 ◆作家別 1位~10位
◆コミック 1位~25位/26位~50位 ◆作品別 1位~10位
◆文庫 1位~25位/26位~50位 ◆作家別 1位~10位
<<ジャンル別ランキング表>>
◆ライトノベル作品別 1位~10位 ◆ビジネス書 1位~10位
◆文芸(小説) 1位~10位 ◆ライトノベル 1位~10位
◆タレント本 1位~10位 ◆写真集 1位~10位
ベテラン作家が日本に喝!『九十歳。何がめでたい』がロングセラーで総合1位
単独のメディアだけで大きなムーブメントが生まれることは極めて限られるようになった昨今。映画化された作品、ニュースなどで取り上げられた作品、口コミ、流行語……現代はメディアミックスがより細分化され、多角的な露出の中からヒットが生まれる傾向に。思いもよらない角度から「人気」が醸成され、ふとしたきっかけによってそれが一気に芽吹くという傾向は、書籍の世界においても例外ではない。2017年を賑わせた作品を振り返ってみよう。
BOOK総合部門で年間1位となった『九十歳。何がめでたい』(16年8月発行)は、作家・佐藤愛子の本音と愛が詰まったエッセイ。フラットなスタンスから繰り出される現代への「怒り」や「嘆き」は、ネット社会で匿名による誹謗中傷が横行する昨今に快い一撃となった。共感の輪の広がりが年をまたいで昨年36位→1位とロングベストセラーを生み出した。
子どもの心を掴んだキラーワード「うんこ」
書籍における最大の話題作となったのが、2位・6位・9位・18位・24位・37位に飛び込んできた『日本一楽しい漢字ドリル うんこ漢字ドリル』である。子どもの笑いのツボのひとつでもある「うんこ」を題材に使った学習教材が異例のヒットを見せた。「楽しく勉強をする」とはどういうことなのか、を改めて考えさせてくれた”発明”と言えるだろう。手帳でおなじみの高橋書店から発売されたヒット作『おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』(3位)、『おもしろい!進化のふしぎ 続ざんねんないきもの事典』(16位)にも同様の傾向があり、「ざんねんな」というフレーズが読み手の興味をくすぐったことは疑うべくもない事実だ。多感な子どもたちの心に“突き刺さる”キラーワードは意外な場所にまだまだ眠っていることを再認識させてくれた。
新刊が店頭に並ぶことがニュースになる村上春樹が今年も注目作『騎士団長殺し』でランキングを席巻した(総合4位・8位、文芸・小説部門では1位・3位)。活字離れが進行し、文芸書が苦戦を強いられるなかにあっても、圧倒的な売上を残す“巨人”。これで“あの世界的な賞”を受賞したら一体どんな爆発力を見せるのか、興味は尽きない。その“賞”を受賞した日系イギリス人作家カズオ・イシグロは年間ランキングには入らなかったものの、来年以降の動向に注目だ。
毎年のように上位にランクされるダイエット関連商品にあって、今年話題を呼んだのが『やせるおかず』、通称“やせおか”シリーズだ(11位、19位)。『ひとりごはん』『ふたりごはん』などで知られる料理研究家・柳澤英子のレシピ集という安心感は、メディアでのクローズアップに加え、キッチンでのタブレット活用といったライフスタイルの変化も相まって、さまざまな派生型を生み出すブームを呼んだ。昨年、一昨年発売の商品ながらロングセラーと化している。
タレント本活況の中、メディアを騒然とさせた白石麻衣写真集の快挙
メディアがこぞって取り上げ、固定ファンが動く、という点で「タレント本」にも市場の注目が集まっている。16年に大きな飛躍を見せた星野源はマルチな才能を発揮し、エッセイ『いのちの車窓から』を上梓、BOOK総合の26位を獲得した(星野は文庫ランキングにおいても『そして生活はつづく』がTOP20入り)。お笑いコンビ・キングコングのにしのあきひろ(西野亮廣)のよる絵本『えんとつ町のプペル』は32位。33人のクリエイターによる完全分業制、全ページをブログで無料公開など、常識にとらわれないアプローチは確かな足跡を残した。又吉直樹の『劇場』も堂々のTOP40入り(36位)。作家としての存在感は日ごとに高まっている。
写真集がこれほど世間を騒がせた年も珍しい。その牽引役ともなった『白石麻衣写真集 パスポート』は39位。講談社108年の歴史の中で、写真集では白石麻衣が史上最高部数となった。写真集がBOOK総合の年間ランキングに入るのは、2015年の総合46位・約17万部(2015年11月30日付)を記録した大野智(嵐)の『FREESTYLE II』以来。乃木坂46の大躍進、各メンバーによる相次ぐ写真集のリリースは、情報の波状攻撃を生み出し、グループにも商品にも目が動くという意味で2017年出版界の”Win-Win”な展開になったと言えるだろう。
”3強”を追う『東京喰種』、飛躍した『キングダム』の動向にも注目
コミック部門のNo.1は不動の『ONE PIECE』。1年間に発売されたものが1~4位を独占するという光景は、完全に年末の一場面と化している。そして、これに続く『進撃の巨人』、『HUNTER×HUNTER』という構図も1年前のリプレイを思わせる。
順位に動きが生じたのはこの下だ。16年に連載が完了、単行本もすべて発行された『暗殺教室』が抜けた“ポスト3強”のポジションを手にしたのは、今年実写映画化された『東京喰種トーキョーグール』(該当作品は第2部にあたる『東京喰種トーキョーグール:re』)。カニバリズムという刺激の強いテーマを扱いながらも、上述の映画化、さらには15年に続いて第2弾となる舞台化も試みられるなど原作への支持は高い。18年には『:re』を描いたアニメの放送も予定されており、このランクから更なる上位を伺う。
そんな『東京喰種トーキョーグール:re』としのぎを削っているのが『ワンパンマン』と『ハイキュー!!』『キングダム』などだ。いずれもすでにアニメ化されており、その点では突如として人気を集めた作品ではないことがわかる。無敵の強さを誇る主人公が“一撃”で敵をなぎ倒していく爽快感が魅力の『ワンパンマン』、バレーボールを通した“熱い”青春を生き生きと描いた『ハイキュー!!』はいずれもある意味、王道の構成が魅力となっているが、興味深いのが、紀元前の中国の戦乱時代を扱った『キングダム』だ。BOOK総合で『応仁の乱』(14位)が上位に食い込んだように、意外と知られていない”争いの歴史”はまだまだ隠されている。コミック作品別にみると、頭一つ飛び出た1位の『ONE PIECE』、2位の『進撃の巨人』に迫る勢いの3位に輝き、16年よりも明らかにワンランク伸びた『キングダム』。13年に手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した力作が“天下”へと歩を進め始めた。
『君の膵臓をたべたい』がミリオン突破! 映像化が作品を後押しし、新たな人気作家を生み出す
BOOK総合ランキングにおいて、15年6月の発売ながら今年もブック総合47位にランクインした住野よる『君の膵臓をたべたい』が4月に文庫化され、17年の文庫総合部門で年間1位を記録。文庫唯一のミリオンセラーという快挙も併せて達成した。このヒットの背景にあるのが、7月28日に劇場公開され大成功を収めた映画の存在だ。ショッキングなタイトルとは裏腹な感涙必至のラブストーリーに「2010年代の『セカチュー』」という声が上がるほどの勝算が相次ぎ、映画の公開によってその作品力が広く世の中に知れ渡った結果の大記録となった。最新刊『か「」く「」し「」ご「」と「』もBOOK総合27位に入った住野よる、今後の活躍にも期待したい。
原作の映像化でステップアップした作家は数多い。『リバース』『豆の上で眠る』が2位、3位となった湊かなえ、ドラマ化・映画化が続く4位の又吉直樹『火花』はもちろんのこと、『雪煙チェイス』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が5位、6位に並んだ東野圭吾、『アキラとあきら』(7位)の池井戸潤、『ビブリア古書堂の事件手帖 7 ~栞子さんと果てない舞台~』(8位)の三上延、ほかにも伊坂幸太郎、佐伯泰英を含め、人気作家と呼ばれる人たちはいずれも、その作品がドラマや映画の原作となっている。
さらに、12位の七月隆文『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』、14位の北川恵海『ちょっと今から仕事やめてくる』はどちらも昨年末から今年にかけて映画化された作品(どちらも福士蒼汰が主演)。それぞれ14年、15年の刊行という点を考えても、映画化がセールスアップを後押ししたことは間違いなく、近年の文芸作品が映像と密接な関係になっていることを示している。2018年にはどんな作家のどんな作品が映像化され話題を集めるのか注目だ。
◆BOOK 1位~25位/26位~50位 ◆作家別 1位~10位
◆コミック 1位~25位/26位~50位 ◆作品別 1位~10位
◆文庫 1位~25位/26位~50位 ◆作家別 1位~10位
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◆ライトノベル作品別 1位~10位 ◆ビジネス書 1位~10位
◆文芸(小説) 1位~10位 ◆ライトノベル 1位~10位
◆タレント本 1位~10位 ◆写真集 1位~10位
集計期間:2016/12/5付~2017/11/27付
(実質集計期間:2016年11月21日~2017年11月19日)