新型コロナウイルス対策を巡り、マスク着用に関する見解案を専門家グループがまとめ、19日の厚生労働省の助言機関に示す。人と距離がとれる屋外で不要とするほか、既に政府が推奨を取りやめる方向で検討している未就学児の着用も求めないこととする。夏に向け熱中症のリスクが高まる中、着用の是非が議論となっていることを踏まえた。 【写真】渋谷駅前の子どもの銅像にマスクが付けられたことも(20年3月撮影)
見解案では、屋外では基本的に、人との距離をとれば着用は不要とする。ただし、通勤・通学など公共交通機関を使う場合は着用するほか、常にマスクを持参し、人混みや屋内に入る際に適宜着用する。鼻水や喉の痛みなどがあれば外出を控えることを求める。
また、保育所などでの2歳以上の園児にマスク着用を勧める政府の方針に対して、見解案では「一律には着用を求めない」ことが望ましいとする。
新型コロナの感染者数が減少傾向を示す中、欧米のようなマスクの着用緩和に期待が高まっている。
尾崎治夫・東京都医師会長が10日の記者会見で、屋外は感染リスクが低いとして、「着用を見直してもいいのではないか」と発言。夏場に着用していると熱中症のリスクが高まることから、13日に松野官房長官が会見で「気温や湿度が高く、野外で人との距離が十分あれば、外すことを推奨している」と話した。
また、未就学児が長期に着用すると、互いの表情が分かりにくく、発育に悪影響があるとの指摘も医師らから出ている。
ただし、感染によって重症化したり後遺症で悩んだりする人がいることから、「全面的にマスクを外すには、まだ時間がかかる」との指摘もある。
岸田首相は13日の衆院内閣委員会で「着用は基本的予防策として重要」とし、現状では緩和に慎重な姿勢を示している。
感染症に詳しい舘田一博・東邦大教授は「患者が手軽に使える治療薬や、効果が長く続くワクチンが登場すれば、マスクを外していい場面が徐々に増えるのではないか」と話している。