ああ中国「五輪残酷物語」 選手の悲惨な末路

■ホルモン剤で後遺症、学歴なくメダル売却…4割が生活苦

 【北京=福島香織】国家のために戦った中国人アスリートの多くが引退後、苦しい生活を強いられている。コーチらによる賞金の搾取、ハードなトレーニングがもたらす重度のスポーツ障害。そして学歴がないため仕事が見つからない。元長距離選手が生活のため栄光のメダルを売り出したことから、北京五輪を来年に控え、中国選手の悲惨な人生が改めて注目を集めている。

 この元選手は艾冬梅さん(26)。艾さんは1999年の北京国際マラソンで優勝したが、現役時代の無理がたたって足の後遺症に悩まされている。2003年に引退した後は夫と行商などで生計を立てていたが、うまくいかなかった。現役時代に稼いだ5万元(約75万円)以上の賞金はコーチに横領されたとして裁判で争っている。
 今月、とうとう生活苦に耐え切れずメダル16個を200~1000元(約3000~1万5000円)で売り出すと発表した。「娘がもしスポーツ選手になりたいといったら足を折ってでもやめさせる」という艾さんに同情が集まり、これまでに2万元(約30万円)以上の支援金が寄せられた。
 中国紙・新京報によれば、同じような境遇に置かれている引退選手は決して少なくない。

 艾さんと同期の元女子陸上中距離選手(30)も9歳からスパルタ式の訓練を受け、足を負傷して26歳のとき引退した。いまも就職できない身を「私はコーチの実験品だった」と嘆いている。元重量挙げ女子全国チャンピオンは大衆浴場のマッサージ師になったが、現役時代に服用していた男性ホルモン剤の後遺症で顔にひげがはえ男のように声変わりしたままだ。
 中国ではスポーツ選手は国家機関で育成され、国家のために競技する。賞金やCM出演料も「強化費」名目でコーチらにピンはねされ、外国チームに移籍しようものなら育成費の返還が求められる。スパルタ式の練習についていくことができなければどんどん振り落とされる。毎年3000~6000人の選手が引退している。その後の生活保障は整備されておらず、約4割が生活苦にあえいでいるという。

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