ほかの車の走行を著しく妨害する「あおり運転」について、警察庁は免許取り消しの対象にする方針を固めた。あおり運転そのものを摘発する規定の新設や罰則強化のために道路交通法を改正する考えだが、行政処分も厳しくする。ドライバーに危機感を持ってもらうことで、危険な運転を抑止するのが狙いだ。
警察はあおり運転の摘発を強化しているが、危険な行為は後を絶たない。8月には茨城県の常磐自動車道で、乗用車を運転していた男が、前の車の前方に割り込んで停車を余儀なくさせ、運転手を殴ったなどとして逮捕された。9月には、愛知県の東名高速で車が後続のワゴン車にあおられ、エアガンで撃たれる事件も起きている。
警察庁はあおり運転にあたる行為を新たに道交法で定めて厳しい罰則を設ける方針で、来年の通常国会への法案提出を目指して検討を進めている。さらに行政処分については、酒酔い運転や過労運転などと同じように、あおり運転と認定されれば免許取り消しにする方針だ。
警察は現在、道交法の車間距離保持義務違反であおり運転を摘発することが多い。違反点数は高速道路上が2点、一般道が1点で、ほかの違反がなければ免許取り消しにはならない。