あすと長町3年連続応札ゼロ 再値下げ実らず 仙台

 仙台市太白区の「あすと長町」(約82ヘクタール)で、大口土地所有者の「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(横浜市)による大規模区画の売却が暗礁に乗り上げている。ことしも4区画の公開競争入札を公示したが、25日の入札日に応札者は現れなかった。入札不調は3年連続で、機構は戦略の練り直しを迫られそうだ。
 売却予定の4区画はJR長町駅東側にあり、面積は0.8~1.8ヘクタール。最低売却価格は9億8000万~23億6000万円で、10月上旬の現地説明会には二十数社が参加したが、その後の反応は鈍かった。
 売却が進まない原因について、支援機構は「景気低迷で企業の投資意欲が弱まっていることが大きい。区画が大きく、活用策が大型施設などに限定されていることも響いた」と分析。当面は、今回の最低価格のまま先着順で購入者を募る。
 支援機構は2008年、区画売却を開始。競争入札方式で購入者を募ったが、応募者はゼロだった。最低価格を2割以上引き下げた09年も応募者はなく、今回はさらに1割ほど下げた。
 説明会に参加し、応札を見送った市内の開発業者は「ザ・モール仙台長町やララガーデン長町が集積する長町南地区に比べ、JR長町駅前は人通りが少ない。大規模集客施設を立地させるにはリスクが大きい」と語る。
 支援機構が、さらに価格を下げて販売すれば周辺の地価の値崩れを誘発する恐れがあり、周辺の土地所有者は機構の方針を注視する。市都市整備局は「機構の土地が売れないのは、街づくりにとってマイナス。どのような売却の仕方が望ましいのか一緒に協議していきたい」と話している。

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