あとどれくらい頑張れますか? 社員の「残りHP」可視化してみた企業に称賛の声

その日の社員の「体力」が一目で分かる――老舗総合専門メーカーの「音研」(本社:東京都板橋区)が導入中のそんなシステムがツイッターで注目を集めている。

いったいどうやってそんなものを把握しているのか。その方法がこちらだ。

この画像は、音研の公式キャラクターかつ同社の「広報係」を務めている「ケンさん」が2022年6月26日、公式ツイッターアカウント(@onkenkenken)で

「当社ではHP見える化制度を採用しております」

とコメントを添えて投稿したもの。スーツの胸元についているのは「HP」と書かれたバッジである。

HPとはヒットポイントの略。RPGやアクションゲーム等でキャラクターの体力を表す数字だ。

つまり、音研ではこのバッジで社員のその日の調子を「HP」にたとえて見える化しているのだ。例えば写真に映っている社員さんは最大10000まである「HP」が、すでに15しか残っておらず、ゲームであれば瀕死の状態。かなりお疲れのようだ……。

「こんなん金曜日以外全部瀕死やろ」

ケンさんの投稿に対し、ツイッター上では2万2000件を超える「いいね」(7月4日昼時点)のほか、

「なにこれ欲しいwww」
「アイデア最高すぎて好き」
「こんなん金曜日以外全部瀕死やろ」
「状態異常(風邪、花粉症など)のバッジはありますでしょうか?」
「レベ上げのために瀕死のスタッフを狩る奴が現れそう」

などのコメントも寄せられるなど、注目を集めている。

いったい、どんな経緯で社員のHPを「見える化」しようという発想に至ったのだろうか。

7月1日、Jタウンネット記者の取材に応じた広報係の「ケンさん」は、「HP見える化制度」は同社営業部で6月20日ごろから導入されたと説明する。

「仕事・プライベート問わず、社員それぞれがプレッシャーやストレスを抱えていて、当然、精神的にも肉体的にもコンディションは日々異なります。
ただ、立場や役割、仕事の状況もありそういったことをなかなか気軽に口に出せない場合も多くあります。
そんな時、何か気軽に(フランクに)自分の状態を発信できる方法はないかと考えていたところ、『HPを可視化できるバッジを作ればいいのでは?』という声が社員から上がり、弊社完備のアクリルカッターでサクッとサンプルを作ってみました」(ケンさん)

そうして作ってみたサンプルの出来栄えがよかったため、量産して営業部で制度化する運びに。

HPを「見える化」するために制作したアクリルバッジは「15」「3899」「10000」の3種類だが、紙やテプラ等を使って各々で手作りをして好きなHPに変えている社員もいるそうだ。

あえての「満タンバッジ」でプラシーボ効果を狙え!?

「HP見える化制度」導入後、社員からはどんな反応があったのだろう。また、何か効果はあったのだろうか?

ケンさんは以下のように語る。

「誰かに仕事を任せる時など実用的な場面ではもちろん、ふと社内ですれ違う時にも自然と相手のHPバッジを見るようになってきました。普段あまり会話のない相手とも会話のきっかけになったり、少なくとも社員同士のコミュニケーションツールとしてうまく働いているように見えます。実用面は絶賛経過観察中ですが、社内の雰囲気が明るくなった気がしてます」

また、家に持ち帰って一緒に暮らしている家族(赤ちゃんやペット)につけて楽しんでいる社員や、あえて満タンのバッジをつけることで「プラシーボ効果」を狙っている社員もいるとのことで、「それぞれユニークな使い方をしていて面白いです」。

社員たちが日々、多くの時間を過ごす職場。そんな場所で「HP見える化制度」が「少しでも楽しく、ストレスなく過ごせる環境作りにつながるツールになればいいなと思っています」とケンさん。今後、残りHP「15」「3899」「10000」の3種類だけではなく、残りHPのバリエーションやHP以外の表現パターンを増やしていくことも検討中だという。

なお「しゃいんのHP見える化バッヂ」は、ツイッターでの大反響を受け、一般販売の準備を急ピッチで進行中。7月中旬~下旬頃に同社オフィシャルECショップをオープンし、販売を開始する予定だ。

皆さんもこのバッジを使って、自分や仲間たちのHPを「見える化」してみては?

タイトルとURLをコピーしました