1980年代後半、ケミカルウォッシュという加工が施されたジーンズが流行した。
ケミカルウォッシュとは、ジーンズの生地に使い込んだ風合いを出すために、漂白剤を使ってわざとまだら模様にする加工のこと。アラフォー世代ならば、一度は履いたことがあるのではないだろうか。
筆者は高校生時代、ケミカルウォッシュのGジャンにジーンズという出で立ちで学校に行ったら(筆者の通っていた高校は私服OKだった)、年配の先生に「なんだ、その皮膚病みたいな服は」と言われたものだ。確かに、今思えば……。
このケミカルウォッシュ、80年代後半~90年代前半にかけて、いわゆる「アキバ系」と呼ばれる人たちの定番ファッションとなった。巷では「霜降りジーンズ」とか「まだらズボン」などという、ありがたくない通称で呼ばれ始め、徐々にファッションのメインストリームからフェイドアウト。一度ブームが過ぎてからは、再びケミカルウォッシュのジーンズが陽の目を見ることはなかった。
しかし今年に入ってから、ケミカルウォッシュのジーンズをラインアップに加えてきているブランドが急増している。
ただし、80年代のケミカルウォッシュジーンズとは、若干異なっている。80年代のブーム時は、足首に近づくほど細くなり、サイドには2本のラインが入っていたものが定番。いわゆる「ジョッパーズ」と呼ばれていたものだ。
だが、21世紀のケミカルウォッシュジーンズは、全体的に細身のシルエットの「スリムタイプ」が主流。まだら具合も控えめで、80年代のあのケミカルウォッシュを知っている人から見れば、全く「霜降り感」がなく、もの足りないと言えそうだ。
実際に店頭で見ても、ケミカルウォッシュと言われなければ、普通のダメージドジーンズに見える程度。まあ、実際80年代のままのケミカルウォッシュジーンズが発売されても、履こうとは思わないが……。
「流行は一定周期で巡る」とよく言われるが、まさかこの時代にケミカルウォッシュブームがやってくるとは――。さすがに当時履いていたジーンズはもう手元にないが、1本くらい買ってみてもいいかもしれない。もしかしたら、今年から来年にかけて、ケミカルウォッシュが大流行するかも?!
(三浦一紀)