アフリカ諸国での女性用ウィッグ(おしゃれ用かつら・付け毛)需要の増加を受けて、材料となる人工毛髪繊維を製造するカネカと電気化学工業の国内2社が工場新設などで増産を続けている。
ウィッグの需要が毎年10%~15%増の勢いで伸びているためだ。両社は世界市場の6割超のシェア(市場占有率)を確保しており、さらなる需要開拓のため、ウィッグ製造業者や消費者へのおしゃれ提案などにも力を入れ始めた。
世界2位の電気化学工業は今月2日、約30億円を投じたシンガポール新工場の稼働を始め、生産能力を年1万トン強(ロングヘアのかつらで2700万個相当)から約2倍に引き上げた。10年前は年産5000トンを大きく下回っていたが、ここ5~6年で販売が急増。既存工場の設備増強を繰り返した。
最大手のカネカも年約6万トンまで生産能力を拡張してきたが、さらに新工場の建設を検討している。
ウィッグ需要が増えているのはケニアやナイジェリアなど、8億超の人口を持つサハラ砂漠以南のアフリカ諸国だ。2000年以降、豊富な資源生産を背景に、年平均5%台の経済成長を続けている。
黒人女性の間では、ウィッグでストレートヘアやカラフルな編み込みなど様々な髪形を楽しむおしゃれが人気で、アフリカでも所得水準の向上で流行が爆発した。正確な統計はないが、現在、世界のウィッグ需要は年10万トン規模で、6割以上がアフリカ、北米がその半分程度だという。
両社の繊維を使った製品は付け毛で400円前後と人毛製の半額程度。しなやかさと発色の良さで、ウィッグ製造業者に人気だ。