うつ病に典型的な3つの性格
ストレスの多い現代人に多い病気である「うつ病」。脳の働きが一時的に不安定になり、憂うつ感、意欲と活動の低下、体調不良などの症状がみられる病気です。
うつ病は、さまざまな要因が絡み合って発症しますが、その要因のひとつに「性格」があります。特に、次の3つはうつ病になりやすい性格と言われます。
● メランコリー親和性性格
とても几帳面で、決まった秩序の中で過ごさないと安心できないタイプ。決まった形が乱されたり、臨機応変な対応を求められたりすると、気分が落ち着かなくなる。
● 執着性性格
真面目で、物事を徹底してやらなければ気が済まないタイプ。責任感が強く、手を抜いたり息を抜いたりせずに、猛烈に物事に取り組む。
● 循環性格
社交性に富み、ユーモアにあふれて明るく朗らかなタイプ。しかし、気分の浮き沈みが激しく、落ち込むときにはかなり深い憂うつを抱える。
たとえば、仕事に熱心に取り組み、まじめで会社からも期待される人。人に気を遣い、責任感が強い人。このように、社会的には望ましい性格の人こそ、うつ病リスクが高いのです。これはまさに現代の悲劇です。
正反対の性格の人もうつになる
と
ころが、最近ではこの3つの性格に加え、社会的には歓迎されない性格の持ち主も、うつ病になるケースが増えています。「現代型うつ病」「ディスチミア親和型うつ病」など、新しいタイプのうつ病によく見られる性格です。このタイプには、次のような傾向がよく指摘されています。
・ 秩序を守るのが苦手
・ 気力がない
・ 自責的ではなく他罰的
・ 自己愛が強い
こうしたタイプは、豊かな環境で育ち、ストレスに揉まれてこなかった20~30代の若い世代に比較的よく見られます。社会に出て、急にイヤな仕事や人間関係など、複雑なストレスにさらされてしまうことが、これらのうつ病になる要因の一つと考えられています。
先にあげた性格の場合、薬をしっかり飲んで一定期間休養をし、ストレスをためやすい考え方を見直すことで、比較的早めに回復していきます。しかし、後者のタイプでは、服薬・休養だけでは十分な効果が表れず、生活指導や社会人教育を行うことが重要な要素になります。
自分にも似た傾向がある、と気づいた人は、早めに自分自身の考え方や生活習慣を改善して、本格的なうつ病にならないように予防することが大事です。
(文:大美賀 直子)