毎年数え切れないほどの曲が、音楽業界でリリースされている。そのなかで、どの曲がヒットするのかを的中させるのは、不可能に限りになく近い。しかし今回、その不可能を可能にする方程式が発表され、注目を集めている。
この驚愕の方程式を発表したのは、英国ブリストル大学の科学者チーム。彼らは50年間分の音楽チャートTOP40のシングル曲を人工知能ソフトを使って分析し、ヒット曲とそうでない曲の違いについて研究を行った。
その結果、TOP5の曲を60パーセントの確率で当てられるという方程式を導き出すことに成功した。その方程式は、テンポ、タイミング、曲の長さ、音の大きさといった音楽的特徴の他に、ハーモニーの複雑さという細かい情報まで考慮したものになっている。
そして次がその方程式である。
点数=(w1×f1)+(w2×f2)+(w3×f3)+……(w23×f23)
weight(w)…23種類ある音楽的特徴の重要度。これは時代によって変わる
例)テンポの重要度は3、タイミングの重要度は5
feature(f)…その曲の音楽的特徴の点数。これは曲によって変わる
例)テンポの点数は75、タイミングの点数は62
このように点数を導き、そこからその曲がヒットするかどうかを予想するというのが今回の方程式の使い方のようだ。
またこの他に、ヒットする曲の特徴は時代によって変わっていくことも発見されており、次のような研究結果が発表されている。
・1980年代、1分間に70から89ビートのようなゆっくりとしたテンポ(バラードなど)が音楽チャートを登り上がる重要な要素であった。
・1980年代以降は踊れる曲がヒットする傾向にある。
・1990年代前半までは、ハーモニーにおいてシンプルな曲がヒットしやすかった。しかしそれ以降は4/4 拍子など、バイナリービート(2つに分けられるビート)の曲、リズムにおいてシンプルな曲がヒットする傾向にある。
・最近では、うるさい曲、音が大きい曲の数が増えていっている。また一般的にいって、現在の音楽チャートで上位にある曲は、下位にある曲よりうるさいことが多い。ちなみに科学ニュースサイト「Sciencedaily.com」によると、今回の方程式は1990年代前半または2000年以降の音楽チャートにおいて最も正確であり、1980年あたりのヒット曲を予想するのが特に難しかったとのこと。これは同時に、1970年代後半と1980年代前半が、POPミュージックにおけてクリエイティブな時期であったことを意味する。