底引き網漁や定置網漁、海産物加工を展開する水産会社の庄福丸(宮城県亘理町)が、傷が付いたため市場で販売できなくなったタチウオを活用した弁当「太刀魚重」を開発した。名取市のフーズガーデンゆりあげ食彩館で、8月の土日限定で販売している。
同社が沖合5~10キロの仙台湾に仕掛けた定置網にかかり、同町の荒浜漁港に水揚げしたタチウオを使用する。切り身を蒸した後、しょうゆと砂糖、ショウガ、トウガラシを合わせたたれを塗りながらあぶって焦げ目を付け、亘理産ひとめぼれのご飯にのせた。1個1080円。
はらこ飯、ホッキ飯に続け
同社によると、西日本沿岸で取れるタチウオが3年前から定置網に入るようになった。地球温暖化に伴う水温や海流の変化が背景にあるとみられる。日によっては100キロ以上の漁獲量があるが、水揚げの際などに傷が付きやすく、多い時で約半分を処分しなければならないという。加工部門責任者の清水谷結香取締役(29)は「ウナギと遜色ないおいしさで、脂の乗りもいい。香ばしく、ふわっとした食感に仕上がった」と話す。
6月下旬から試作を重ね、土用の丑(うし)の日の7月23日と同24日にゆりあげ食彩館で各10食を売り出したところ完売し、販売の継続が決まった。清水谷取締役は「秋のはらこ飯、春のホッキ飯のように、太刀魚重を夏の亘理を代表する食に育てたい」と先を見据える。