"おしゃべりクソ野郎"に"リズムアンド暴力" 有吉命名あだ名ランキング!

有吉弘行の命名するあだ名ブームは、二発屋と自重する本人の人気が恒常化するに及び、未だ衰えを感じさせない。
発端は2007年8月に放送された『アメトーーク!』(テレビ朝日系)。有吉がプレゼンした「一発屋にならないための方法」という企画の中で、彼は品川祐に対して「おしゃべりクソ野郎」と指摘した。このあまりにも的確なあだ名に、会場も視聴者も爆笑、出演陣の芸人も笑い転げた。いわゆるこの”おしゃクソ事変”を機に、有吉のあだ名ブームは爆発し、再ブレイクのきっかけとなった。
 その人気は高く、そもそも毒気や揶揄といった要素の強い有吉のあだ名であるにも関わらず、世間の意見やその人物の雰囲気を見事に捉えた彼のあだ名に感服した多くのタレントは、自ら彼によってつけられるあだ名を望むという逆転現象まで巻き起こした。
ネットで一覧にされるだけでもその数は、3年の間におよそ130以上に上り、あまりにも秀逸な例は多くの掲示板でも話題になった。そんな社会現象といってもいい有吉のあだ名を、ネットでの話題性を元にランキング付けしてみた。基準にするのは、そのネットでの話題性のほかに、毒舌度・共感度・ズバリ度の3 つ。それぞれ5点満点の集計で、寸評も交え10位から発表する。
■第10位「小銭拾い」
対象人物:JOY
毒舌度  ★★★★
共感度  ★★★
ズバリ度 ★
合計8点
寸評:モデル上がりのタレントにも関わらず、三枚目キャラでバラエティー番組をメインに活躍していることから、どこか本気で芸能活動に取り組んでいはいないのではないかという懐疑的な世間の視線を捉えたあだ名。「小銭拾い」という、どこか妖怪のような語感とJOYの容姿から受ける印象は共感できる。
■第9位「短足天狗」
対象人物:ダチョウ倶楽部 寺門ジモン
毒舌度  ★★★
共感度  ★★
ズバリ度 ★★★★
合計9点
寸評:まさにズバリといったあだ名。見た目も短足で天狗のように大きな鼻をしたジモンの外見的特徴が凝縮されたあだ名だ。他に「ステロイド馬鹿」や「ポリバケツ」といったあだ名を命名されているジモンだが、「短足天狗」ほど見事ではない。
■第7位「人造人間19号」
対象人物: 柳原可奈子
毒舌度  ★★
共感度  ★★★★★
ズバリ度 ★★★
合計10点
寸評:特にネット上での評判が高かったあだ名の一つ。『ドラゴンボール』に登場する人造人間19号と柳原が似ているという理由だが、白い肌と鋭い目つき、太った体型など確かに瓜二つ。ただの悪口ではない共感にこそ、有吉のあだ名の魅力はある。
■第7位「哀しきモンスター」
対象人物: サンドウィッチマン 富沢たけし
毒舌度  ★★
共感度  ★★★★
ズバリ度 ★★★★
合計10点
寸評:体格がよく、垂れ目かつ試合後のボクサーのように腫れぼったい目をしている富沢を、有吉は「哀しきモンスター」と呼んだ。腫れて非常に細くしか開かない瞳に見え隠れする、どこか切ない感じと、類稀なお笑いセンスをもつ富沢の力強さを表現した秀逸なあだ名と言える。
■第5位「気持ち悪いなお前」
対象人物:爆笑問題 田中裕二
毒舌度  ★★★★★
共感度  ★★★
ズバリ度 ★★★
合計11点
寸評:有吉のあだ名にはときおりこういった喋り口調のままの命名がある。その中でも秀逸な例がこの爆笑問題田中に対するものだ。言葉の響きはまさに毒そのものだが、社会的な地位も経済的な余裕もある田中に対しての暴言だからこそ「いじめ」にならないのではないだろうか。ちなみに田中は、先日新たに「チビクソ小便」というあだ名もつけられてしまった。
■第5位「エロみっともない」
対象人物: misono
毒舌度  ★★★★
共感度  ★★★★
ズバリ度 ★★★
合計11点
寸評:姉の倖田來未が「エロかっこいい」を標榜していることから命名された「エロみっともない」。歌手としてよりもバラエティー番組で活躍するmisono だが、その割にいつもどこかアーティスト意識が見え隠れしているため、その不徹底さを的確に指摘したあだ名。物議を醸した姉の「羊水腐る」発言にもかかっているような気がするが、それは考えすぎだろうか。
■第4位「元気な大学生」
対象人物: キングコング 西野亮廣
毒舌度  ★★★★★
共感度  ★★★★
ズバリ度 ★★★
合計12点
寸評:あまりにも早い出世を成し遂げたキングコングにつけられたものだが、まだ彼らが本当の芸人に至っていないことを暗に示唆するこのあだ名は毒気満点である。自己評価と自尊心の異様に高い西野にしてみれば、不甲斐ないあだ名だろうが、世間の共感は十分獲得しているようだ。
■第3位「リズムアンド暴力」
対象人物: 和田アキ子
毒舌度  ★★★
共感度  ★★★★★
ズバリ度 ★★★★★
合計13点
寸評:すでに和田アキ子の暴力癖は一般に認識されて、その構築されたキャラクターは確立されたものであるから、そこまで毒気はないあだ名にしろ、共感度とズバリ度は抜群。まるで歌を歌うように気ままに暴力を振るう和田の個性が如実に表れており、最高に笑える。
■第2位「元気の押し売り」
対象人物: ベッキー
毒舌度  ★★★★★
共感度  ★★★★★
ズバリ度 ★★★★
合計14点
寸評:ネットでの話題性で言えば、ダントツトップのあだ名。テレビに映るたび”元気すぎる&イイ子すぎる”ベッキーを見て、視聴者が感じる不思議な違和感を表現しているとして、共感度は高い。彼女の溌剌とした雰囲気にウンザリする視聴者が少なくないとはいえ、それでも彼女を起用するCMや番組が絶えないのは、今の日本には押し売りされたいほど元気がない人々が多いからかもしれない。
■第1位「おしゃべりクソ野郎」
対象人物: 品川庄司 品川祐
毒舌度  ★★★★★
共感度  ★★★★★
ズバリ度 ★★★★★
合計15点
寸評:言葉の選択に現れているように、もちろん毒気は満載だが、視聴者の感じていた品川に対する思いを見事に表現し、以降の有吉のあだ名ブームの礎となった点で1位の座は揺るがない。毒気を支える抜群の共感こそすべてという有吉のあだ名の極意を体現した一作だ。
 以上、ネットでの話題性を元に有吉の命名したあだ名をランキングしてみたが、話題に上がらずとも際立って秀逸な例は多い。読んだだけでも笑えてくるので、いくつか列挙してみる。
タモリ=「昼めがね」
関根勤=「説明ジジイ」
中山秀征=「バブルの生き残り」
ユースケサンタマリア=「パジャマ顔」
半田健人=「うんちくバカ野郎」
おすぎ=「泥人形」
ピーコ=「ファッションおじさん」
爆笑問題・太田光=「田中の親友」「クソ馬鹿野郎」
井上和香=「くちびるオバケ」
千原ジュニア=「へりくつガイコツ」
ペナルティ・ワッキー=「クソスベリ芸人」
南海キャンディーズ・山崎静代=「モンスターヴァージン」
夏川純=「サバ」
いずれ劣らぬ名作揃いで、どのあだ名もランキングに選出されておかしくない。このクオリティの高さこそ、有吉あだ名の最大の魅力と言える。常に期待を裏切らなかったからこそ、今の有吉が確立されたのは言うまでもないが、百戦百勝しなけば生き残れないほど、今のお笑い界が厳しいということだ。
(文=峯尾)
(※画像は、『オレは絶対性格悪くない! 』太田出版より)

タイトルとURLをコピーしました