「家族で初詣に行った際、次男がおみくじを引いたら見慣れない『大々吉』が出た」。新年早々、縁起の良い便りが「読者とともに 特別報道室」に舞い込んだ。大吉より上があるの? 調査を進めると、なんと40年以上前から存在していた。(編集局コンテンツセンター・藤沢和久)
控えめにその文字が
便りの主は仙台市太白区の自営業高橋雅之さん(60)。「子どもが小さい頃から家族で愛宕神社(太白区)に初詣をしている」と言う。
実物は境内に結んできたといい、写真を見せてもらった。大々吉の文字は小吉などと変わらない大きさで控えめに左上に書かれてある。「一生にそんなに訪れない大吉祥運」との書き出しで旅行、家庭、出世、学業など全12項目が前向きな内容となっている。
引き当てた会社員の大貴(ひろき)さん(28)は「毎年、吉や小吉が多い。大々吉は見たことがなく、驚いた」と振り返る。
「ないはずです」が…
謎の大々吉。その経緯や引き当たる割合を知りたいと愛宕神社に聞くと「ないはずです」との答えが返ってきた。高橋さんの話を伝えると「隣接する大満寺(仙台虚空蔵尊)さんではないか」とヒントをくれた。
愛宕神社と大満寺はともに愛宕山(標高78メートル)の山頂にある。寺の山門と神社の鳥居が並んでおり、境内を相互に行き来できる通路もある。高橋さんに確認すると、勘違いしていたようだ。
改めて、大満寺に取材した。大々吉は確かにあった。
経緯や由来の記録はないとのことだが、大々吉は約300~400枚に1枚の割合で入っている。他は大吉、中吉、小吉、末吉の計5種類。凶はない。
職員の記憶では「四十数年前に先々代の住職が導入した」らしい。年末年始は境内の3カ所、それ以外の時期は土日曜などに社務所で引くことができる。
定義如来西方寺にも
大々吉は他の神社や寺院にあるものなのか。河北新報朝刊の年末恒例の「新春ガイド」に載っている仙台市内の10社寺に問い合わせたところ、あったのは大満寺と定義如来西方寺(青葉区)だけだった。
西方寺によると、境内4カ所のうち五重塔の前にある「極楽みくじ」にのみ大々吉が入っている。担当者は「職員もあまり知らなかった」と明かし、「昔からあるおみくじに変化を求める参拝者の声に応え、いつかの時点で加えたのではないか」と推察した。
大貴さんは「大々吉のおみくじには『願いが思いのままかないます』とも書かれてあった。宝くじでも当たるといいなあ」と期待する。