物価の動きを把握する2022年の県内消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年に比べて2・5%上がり、第2次オイルショック末期の1982年以来40年ぶりの上昇率となった。食品など生活必需品の価格が一年を通じて上がる異例の事態が、沖縄県内の多子世帯や低所得世帯の家計を中心に直撃している。先の見えない物価上昇と、最低限度の暮らしさえ危ぶまれる状況に「働こうにも支出を抑えようにも限界がある」との声が聞こえる。(社会部・篠原知恵) 【写真】生後3カ月を迎えた4人目の子ども。身の回りの物は全てお下がりで済ませている 物価の上昇は総菜や冷凍食品などの調理食品、電気代が大きく影響した。全国の22年指数(同)は2・3%の上昇で、県内の上がり幅が大きい。県は「電気代の上昇は全国の動きと似ているが、県内は食品全般の上がり幅が全国に比べ大きく、毎月のように値上げが見られた。県外で製造する食品の輸送費が影響したのでは」との見方を示す。 「あれもこれも高いと、肌で感じる」。生後3カ月の子から小学生までの4人を育てる本島中部の女性(31)はこう語る。3カ月の子と2人で過ごす昼間はテレビや照明を極力消し、お米は子どもたちを優先に。食卓から野菜と肉の量が減り、卵は消えた。夫妻は安価なインスタント食品を中心に済ませる。 ■「我慢が日に日に積み重なって…」 洗濯を1日2回から1回にし、休日の外出はもっぱら公園にした。トイレトレーニング中の3歳の就寝時の紙おむつは、ぬれるまで何日も使い回す。「小さな我慢でも、やらないよりはまし」。おむつやミルクなどを無料宅配し、育児支援する県外の自治体もあると聞いた。「沖縄にもあればいいのに」とつぶやく。 最近、家計は赤字続き。中小企業勤務の夫の給与はこの1年間で増えず、収入を増やすために勤務時間を延ばした。4人の子の育児負担は育休中の女性にのしかかる。「お金も時間もない。我慢が日に日に積み重なって、ストレスがたまる」